Peach blossom(家庭療育ブログ)

【家庭療育】発達障害者の人生について…自由に豊かに生きる

🌸桜🌸です。

今回のテーマは、「自由に豊かに生きる」という事について書いていきたいと思います。

障害者って、社会から不幸という目で見られがちですが、本当に不幸なのでしょうか?

🌸桜🌸

障害があることは、不幸ではなく、「不便」なだけです。とはいえ、不便なままでは生きづらいので、知識や経験を通して「自由に豊かに生きる」ことが大切だと思います。

梅子さんが小学校2年から高校1年まで9年間、通っていた療育センターのJ子先生がよく教えてくださった言葉です。

重度発達障害の梅子さんをどのようにして「自由で豊か」な人生を送らせる事ができるのか…それが梅子さんの療育者である私の命題でもあります。

そもそも「自由に」とは?「豊かに」とは?

今でも考え続けているテーマです。

今の私の考えが正しいのかどうなのかは、正直、分かりません。

言葉の意味を毎日、毎日、くる日もくる日も考えています。

途中経過ではありますが、今、出している考えをまとめてみようかと思います。

後にこの言葉の意味に変化が起きる可能性があり、解釈が変わってくるかと思いますが、ご容赦くださいませ。

【発達障害】自由に生きる…とは

重度発達障害者に対する「自由」ってどういう意味ですか?

🌸桜🌸

結論からいうと、制約の中にあってもそれを不自由と感じることがなくなり、生き生きと暮らしていけることです。

そもそも「自由」って言葉は、どういう意味?

他からの束縛を受けず、自分の思うままにふるまえること。

と調べたら書いてありました。

しかし、重度発達障害の梅子さんにこの文言の通りさせたら、正直、上手く育たないと思います。😓

J子先生は、いつもセッションや講義で「自由に豊かに」とおっしゃっていました。

束縛を受けずに思うまま生きる「自由」とルールを教えきる「療育」って正直、相反することろがあるのでは?と考えていました。

そんなある日、J子先生から「あなたは、自由の意味を履き違えている」と言われました。

J子先生は「『自由』とは好き勝手に(無秩序)する意味ではありません。『自由』とは、どんな制約の中にいても、その制約さえも不自由に感じなくなり、生き生きと生きていくことです。」と教えてくださいました。

その時、「自由に」の意味が分かった気がしました。

今の梅子さんは、確かに「自由」に近づいてきました。

特にお金の面では、理解が進み、他者から求められてることが理解できるようになり、困ることがすごく少なくなってきました。
お金の決められたルールを理解し、その中で支払いをしたり、帳簿をつけたり、仕事で稼いでいくら稼いだのかをタイルで知ったりしています。

梅子さんが算数で使っているタイルに関しては、以下の記事に書いています。
よかったらご参照ください。

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他にも天敵だった時計も理解できるようになったので、激しい大泣きのパニックも消えてなくなり、どこにでも出かけられるようになりました。
昔は、時計が怖くて、外出が苦手だったのですが、そんな面影は全くありません。

そして、1ヶ月のカレンダーを理解できるので、数日後の予定さえも既に知っている梅子さんです。
予定を理解していることは、見通しの分かりづらい発達障害者にとって安心材料です。

最後に、「文字」です。
カレンダーの予定も全て文字で示しています。
自分で書いた文字は、1番理解しているのは、自分です。
文字を書いて読める力は、自分の不安定さを取り除いてくれる力です。

こうやって、1つ1つのルールを教えていくことで、梅子さんは、確実に「自由」になっていきました。

  • 「自由」とは、好き勝手に思いつくまま生きるという意味ではない。
  • 「自由」になると、制約の中で暮らしていても、その制約さえも感じなくなる。
  • 「自由」になるために、ルールや知識を自分のものにして、知恵に変えていく。

「自由」に生きるためにもっと具体的に知りたい方は、以下の本をお勧めします。

夜と霧新版 [ ヴィクトル・エミール・フランクル ]
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【発達障害】豊かに生きる…とは

うちの子は、重度発達障害で意思疎通が出来ません。そんな子供の心をどうやって育てるのでしょうか?

🌸桜🌸

課題学習やあらゆる取り組みを通して、喜怒哀楽を生み出し、重度発達障害児の心に揺さぶりをかけます。心の揺さぶりを通して内面が豊かになっていきます。

喜…「やったー!」「嬉しい!」と感じること
怒…「イライラする!」「ムカつく!」と感じること
哀…「辛い…」「哀しい…」と感じること
楽…「ワクワクする!」「楽しい!」と感じること
昔の梅子さんは、自分の感情そのものがなく、心を揺らすことが出来ない子供でした。
J子先生は、そんな梅子さんの心が育ってないことに対して、課題学習と家庭療育の取り組みをさせなさいと言われました。
 
J子先生は「豊かに生きる」ということについて、「課題学習や家庭療育の取り組みを通して喜怒哀楽を感じさせる事」と教えてくださいました。

私がJ子先生から頂いた課題を梅子さんに教えていきました。
学習を通して、梅子さんとやり取りしながら、気づけば梅子さんに喜怒哀楽を感じさせていました。  
教えたい知識を獲得するまでに、紆余曲折がありました。
私の教えている事がまるで伝わらず、泣いたり、怒ったりと挫折の連続の梅子さん。
そんな中でも私に励まされたり、褒められたりして、時には対決したりとトライアンドエラーを繰り返す中で梅子さんに自信がついてきました。
梅子さんは、徐々に学習内容が何につながっているのか見えるようになっていきました。
分からなかったことが理解できる喜びに変わっていく…その経験こそ梅子さんの人生にとって必要不可欠だったのだと、気付きました。

分からなかったことが出来るようになる過程で、喜怒哀楽を感じ、梅子さんはおしゃべりは出来ないまでも、深く物事を考えられるようになっていきました。
これが「豊かに」という意味なのだと今は思っています。

「自由に豊かに生きる」ことは、梅子さんにとっても発達障害者にとっても健常者にとっても必要なことと思っています。
テーマを持って生きること…発達障害者である前に、梅子さんは1人の人間であることを忘れず、私も一緒に生きていきたいと思います。

  • 重度発達障害の子供に課題学習や取り組みを通して喜怒哀楽を感じさせる。
  • 重度発達障害の子供の心に揺さぶりをかけ、心の成長を促す。
  • 重度発達障害の子供の自尊心を育てることが出来る。

では!🌸桜🌸

成人になった重度発達障害者の梅子さんと一緒に課題学習を通して、心を育てる療育を実践してきた。ヘレンケラーとサリバン先生のような指示の通る関係の構築に尽力してきた。療育は、新居浜にあるトモ二療育センターで9年間勉強。現在、梅子さんは、地元の通所施設で毎日働いている。

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