Peach blossom(家庭療育ブログ)

【家庭療育】重度発達障害児に教える引き算九九を解説

🌸桜🌸です。

今回は、「【家庭療育】10までの引き算タイル盤の作り方について解説」で作った教材を使って具体的な教え方を紹介します。

重度発達障害の子供に引き算を教えてどうなるの?と思われた方は、「【家庭療育】重度発達障害児につけるべき7つの算数課題について解説」や「【家庭療育】重度発達障害児に算数を教える必要性を解説」をご参考にしてください。

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引き算について

重度発達障害児に引き算を教えることってできるのですか?

🌸桜🌸

はい。タイルを使えば出来ます。

タイルを使うことで「引く数」と「引かれる数」をはっきり示すことが出来ます。
例えば「10-7」の式を見たら何を示しているのかを理解することが出来ます。
10という引かれる数と7という引く数をタイルで示してやるだけで、答えが3だと分かります。

上記の画像の引き算は、10というタイルから7のタイルが落ちかけている状態を現しています。
しかし、完全に落ちている訳ではなく、ほんの少し繋がっているのがポイントです。
落ちそうで落ちていない状態を現しているのが引き算タイルです。

落ちそうで落ちていない状態だと、元の数が10だと分かりやすく、引く数がいくらなのかもわかりやすくなります

引き算も足し算のように九九で覚えるのですか?

🌸桜🌸

はい。タイルで理論を入れながら、音声から九九を入れていきます。

 
 

「=」は発音させずに引き算の九九としてタイル盤を使いながら何度も暗唱させていきます。

・「10-0  10」、「10-1 9」、「10-2 8」、「10-3 7」、「10-4 6」、「10-5 5」、「10-6 4」、「10-7 3」、「10-8 2」、「10-9 1」

・「9-0 9」、「9-1 8」、「9-2 7」、「9-3 6」、「9-4 5」、「9-5 4」、「9-6 3」、「9-7 2」、「9-8 1」

・「8-0 8」、「8-1 7」、「8-2 6」、「8-3 5」、「8-4 4」、「「8-5 3」、「8-6 2」、「8-7 1」

・「7-0 7」、「7-1 6」、「7-2 5」、「7-3 4」、「7-4 3」、「7-5 2」、「7-6 1」

・「6-0 6」、「6-1 5」、「6-2 4」、6-3 3」、「6-4 2」、「6-5 1」

・「5-0 5」、「5-1 4」、5-2 3」、「5-3 2」、「5-4 1」

・「4-0 4」、「4-1 3」、「4-2 2」、「「4-3 1」

・「3-0 3」、「3-1 2」、3-2 1」

・「2-0 2」、「2-1 1」

引き算タイルの教え方

1.分類箱にタイルを分類する

1)子供の手で1〜10の数字カードを分類箱に入れてから、1〜10のタイルを分類させていきます。

2.「10-0  10」と言いながら見本のタイルを指し示し、見本通りタイルに切り込みを入れ、貼ってはがせるのりで貼り付けていく

※タイルはあらかじめ薄く貼ってはがせるノリを軽く塗っておきます。

1)子供に見本のタイル盤のどの部分を貼り付けていくのかを示しながら、分類箱から10タイルを取り出させます。

2)10-0の場合は、10の分類箱から10タイルを取り出し、貼り付けさていきます。

3)10-1の場合は、10の分類箱から10タイルを取り出し、9と10の間の線に切れ目を入れて鉛筆の線に沿って貼り付けます。

4)10の段⇨9の段⇨8の段⇨7の段⇨6の段⇨5の段⇨4の段⇨3の段⇨2の段とタイルを貼り合わせて見本のタイル盤のように作り上げていきます。

3.全てのタイルを貼り合わせたら、プリントの引き算を計算させる

1)あらかじめプリントに式を書いたポストイットを貼り付けておきます。

2)「10-0」と言いながらポストイットをはがして、引き算タイル盤に見合った式の上にマッチングしていきます。

3)プリントの答えの◯の中に答えの数字を書いていきます。

4)1)〜3)のようにポストイットをはがしては答えを書いていくことを10の段、9の段、8の段、7の段、6の段、5の段、4の段、3の段、2の段と順を追って、計算させていきます。

引き算盤の応用編

1.「引く数」「引かれる数」のタイルをバラバラに教える

梅子さんは、引き算タイルはすぐに覚えたのでしょうか?

🌸桜🌸

いえ。足し算タイルの覚え方と違ったので教え方を工夫しました。

梅子は足し算タイルとは違ったタイルの覚え方をなかなか、マスターできずにいました。
引く数タイルと引かれる数タイルカードを作成し、梅子にフラッシュカードのようにして読ませていきました。
【例】10-6を教える場合

答えだけを読むカード(上記の画像なら4)だけを作って読ませました。
引く数だけを読むカード(上記の画像なら6)だけを作って「ー6」と梅子さんに読ませました。
1つの情報を細かくし、最後は、また1つに戻してやることで梅子は、引き算のカードの読みと意味を理解していきました。

2.引き算九九のプリント式の順番を入れ替える

梅子さんが引き算プリントをタイル盤だけ見て出来るようになった頃、段ごとに式をバラバラにしてタイル盤のどの式を見たらいいのかに注力させる練習をしました。

段ごとでランダムにして梅子さんに解いてもらい、それも理解できるようになった頃、全ての式をシャッフルしてタイル盤を見ながら解いてもらいました。
最終、タイル盤を隠して、シャッフルした式のプリントを解いてもらいました。

こうやって、1つ1つ課題に変化をつけながら、引き算をマスターしていきました。

次回は、繰り下がり引き算の教材作りについて解説したいと思います。

では!🌸桜🌸

成人になった重度発達障害者の梅子さんと一緒に課題学習を通して、心を育てる療育を実践してきた。ヘレンケラーとサリバン先生のような指示の通る関係の構築に尽力してきた。療育は、新居浜にあるトモ二療育センターで9年間勉強。現在、梅子さんは、地元の通所施設で毎日働いている。
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