Peach blossom(家庭療育ブログ)

【家庭療育】兄弟児と障害児の関係について解説

🌸桜🌸です。

今回は、兄弟児について書きたいと思います。

梅子さんには兄弟はいますか?

🌸桜🌸

はい。2歳年上の姉・杏子がいます。

兄弟児が障害児の犠牲になっているように思えてなりません。
いかがでしょうか?

🌸桜🌸

答えは、人それぞれだと思います。

梅子さんには2つ年上の姉・杏子さんがいます。

既に成人しています。

長女の杏子さんは、社会人として働いています。

兄弟児の思いはメディアなどでたくさん取り上げられていますが、私が正直、人それぞれだと考えています。
答えのない内容なので、これ!と言うものはありませんが、梅子さんと杏子さんの関係を時系列で見ていきたいと思います。


幼少期〜小学生時代

梅子さんと杏子さんは、喧嘩や一緒に遊んだことはありますか?

🌸桜🌸

全くありません。
コミュニケーションが取れないので喧嘩にならなかったのが正解です。

杏子さんは、友達から「てっきり一人っ子だと思っていた。」と言われてました。
妹がいても喧嘩した事がないと言うと皆さん、驚かれたようです。
コミュニケーションの取れない梅子さんでしたが、杏子さんなりに気をかけてくれました。
例えば、幼少期なら、梅子さんがどこかに行かないようにしっかり手を繋いでくれたり、お風呂に入れてくれたり、お世話は手伝ってくれました。

ある日、杏子さんの書道の先生(現・梅子さんの書道の先生)から連絡を頂きました。
数日前の夜空に、獅子座流星群があり、その時の話を書道の先生と話をしたそうです。
獅子座流星群を見ながら、杏子さんが「梅子さんの障害が治りますように」と祈ったとのことを聞いたそうです。
それを聞いた私は、障害児が兄弟児にとって重い存在になっているのだろうな…と思いました。
私が梅子さんのことで悩んでいた姿を見せていたからだと思います。

幼少期の杏子さんは梅子さんを邪険にはしませんが、友達の兄弟関係とは明らかに違うことをよく理解していたようです。

そのような中、療育センターのJ子先生から障害児の兄弟についてアドバイスを頂きました。

兄弟児と障害児に関わる割合を6:4の気持ちで向き合ってください

これは、兄弟児が障害児の犠牲にならないようにするアドバイスでした。
梅子さんのような重度発達障害の子供は手が掛かります。
親の意識がどうしても障害児に向いてしまいます。

障害児も兄弟児も幼い時代は一瞬です。
一瞬の中にどちらにも平等に意識を持つのは難しいです。
ならば、兄弟児に多めに意識をさいて、少しでも寂しさを感じさせないようにすることが大切なのだと思いました。

中学生(カミングアウト)〜高校生

杏子さんは、友達に梅子さんのことをどう伝えていたのでしょうか?

🌸桜🌸

親しい友達にだけ障害があることは伝えていました。
しかし、中学生になったときに梅子さんのことを書いた作文が先生の目に止まり、弁論大会に出ることになりました。
そこで全校生徒の前で妹に障害があることを伝えました。

私は、弁論大会に出ることを反対はしませんでした。
逆に社会の反応が見たかった…と言う気持ちもありました。笑
もし、ここで私が反対したら、杏子のからすれば「梅子の存在は、恥ずべきもの」として映っただろうし、カミングアウトさせることが1つの転機になるかもしれないと考えました。
そして、杏子に全校生徒の前で発表する勇気があるのかな?と思っていたのですが、思い切って発表し、優勝してしまいました。笑
発表後、差別的発言をした生徒は1人だけで、友達や先生は、カミングアウトしたことを褒めてくれたとの事でした。
次の年の弁論大会では、後輩が同じように障害ある兄弟のことを書いた作品が発表されたそうです。
先駆者がいる事で勇気が持てることもあるんだな…と思いました。

その後、高校でも大学でも梅子さんのことを友達に話しても「ふ〜ん、そうなんだ」くらいだったそうです。
きっと周りの人たちも大人になってきているんだと思いました。

梅子さんから見た杏子さん

梅子さんから見たお姉さんはどうなのでしょうか?

🌸桜🌸

正直、どう思っているのか分かりません。笑
少なくとも嫌いではないことは確かです。
本人が喋れないから本心が見えません。笑

杏子さんは、高校を卒業し県外の大学に行き、一人暮らしをしていました。
たまに家族で遊びにいき、久しぶりの杏子さんを見るのは楽しそうでした。
しかし、帰るときは毎回、すごく寂しそうにしていました。
「さよなら」を言うときは、杏子さんの方を向かず、知らない顔をしていましたが、車内は、少ししょんぼりしていました。
梅子さんの行動を推測するに、姉のことは好きなんだと思いました。
やっぱり姉妹なんですね。

兄弟でも千差万別

杏子さんと梅子さんは、成人した今でも、直接、絡むことはありませんが、互いに良好な関係だと思っています。

梅子さんと杏子さんのように皆さん、仲良しなのでしょうか?

🌸桜🌸

いえ。
仲の悪い方もおいでます。

梅子さんの水泳に来ていたとある女性が杏子に「私は、姉(重度発達障害)が嫌いです。一緒にいたくありません。
杏子さんは、梅子さんのことを好きですか?」と言ってきた方がいらっしゃいました。
杏子さんはいきなりの質問に少し戸惑いながらも「仲が悪いこともないし、嫌いでもないよ。」と答えていました。
女性は、女性に対する姉の問題行動をいくつか挙げて、その行為が嫌でたまらないことを訴えていました。

私は、その話を聞いて兄弟が仲が悪くなる原因の1つに兄弟の指示が聞けない…と言うのがあるのかと思います。
梅子さんは、杏子さんの言いたい事が分かれば、素直に従います
その「素直」であり、「指示が聞ける。」と言う事が兄弟の距離を縮めると思っています。
素直に指示の聞ける梅子さんを見るたび、「可愛い」と思う杏子さん。
可愛いと思って接してくれる杏子さんを見るたび、梅子さんは、杏子さんの事が好きになる…と言うサイクルが出来ているのだと思います。

私は、兄弟の仲を悪化させないためにも療育の中で梅子さんに指示の聞ける女性を目指していました。いつかは私や主人が先に亡くなります。
そのとき、杏子さんに梅子さんを託さなければいけない日がきます。
兄弟だけになった時も今のように姉の指示が聞けて、仲良くいてくれたらいいと思っています。

指示が通ると言うことは、他者から愛されることにも繋がるのだと思っています。
以前「【家庭療育】早期療育について解説」でも書きましたが、早期療育において発達障害者が人から学ぶことを知る…そして、指示の通る関係が構築され、他者から愛されることにつながっていくのかと思います。
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最後に、杏子さんの中学時代のカミングアウトは、お友達や先生に暖かく受け入れていただき上手くいった例だと思います。
しかし、カミングアウトして辛い立場になってしまった兄弟児の例もあると思います。
最初から兄弟児が嫌いで人に存在を伝えるのも嫌だ…と言う方もおいでるかと思います。
どれも間違いではなく、正解などないと思ってます。
どの兄弟児にも言えることは、親亡き後の世界は共通してやってくる…と言うことです。

兄弟児は、どのような判断を障害ある兄弟に下すのか、環境や境遇、様々な理由で判断が分かれると思います。
親の意向を背負って判断する場合もあるかと思います。

私は、梅子さんを療育してきた理由の1つに杏子さんの指示が梅子さんに通ること。
杏子さんの指示に梅子さんが協力的であること。
梅子さんが杏子さん以外の人とも仲良くできること。
梅子さんがそれだけでも出来たら、別々に暮らし出したとしても、杏子さんも梅子さんを気にかけながらも、安心して生活できるのではと思っています。

未来を見据えて障害者を育てていく視点は、常に必要です。

遠きところを近く見、
近きところを遠く見る

宮本武蔵の言葉を深く考えながら、これからも梅子さんと向き合って参りたいと思います。

  • 兄弟の指示も通るように療育していく
  • 可愛がられる存在に育てていく
  • 指示の通る関係ができるとコミュニケーションが取れなくても愛される

では!🌸桜🌸

成人になった重度発達障害者の梅子さんと一緒に課題学習を通して、心を育てる療育を実践してきた。ヘレンケラーとサリバン先生のような指示の通る関係の構築に尽力してきた。療育は、新居浜にあるトモ二療育センターで9年間勉強。現在、梅子さんは、地元の通所施設で毎日働いている。
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