🌸桜🌸です。
今回、梅子さんと課題学習をする中で、「褒める」と「励ます」ついて書いていきたいと思います。
重度発達障害の子供といても褒めることなどないし、良いところなどありません。問題行動ばかり起こして怒ってばかりです。
私もそうでした。
問題行動の大泣きばかりが続いて生活が成り立たない状態でした。
そんなとき、J子先生から「子供に笑顔を向ける」ことを教わりました。
梅子さんと本格的な課題学習を始めたのは小学校2年生の時からでした。
その課題学習では、梅子さんは、毎回、大泣きで非常に勉強を嫌がり、教える私も梅子さんの泣き声に疲弊していました。
手のつけられない状態の梅子さんに私は、イライラしていました。
梅子さんを励ます事も褒めることもせず、大泣きに私があまり反応しないようにと注意を払いました。
それでも私も我慢できない時もあり、怒ってしまう…という事がたびたびでした。
梅子さんと上手く関係が結べないとき、言うことを聞かず大泣きばかりする梅子さんについて生活記録を書いてJ子先生に読んでいただいてました。
そして、J子先生からアドバイスを頂きました。
あなたの顔が無表情で怒っていなくても怒っているように見えます。
重度発達障害とはいえ、子供は親の顔色を伺うことができます。
怒っているであろうあなたを見て彼女が大泣きするのは当たり前です。
笑顔を彼女に向けてください。
課題の最中も課題でない何気ない日常の一コマの中でも彼女に笑顔を向けて「いい子だね。本当に良い子だ。」と声をかけてあげてください。
声をかけても聞いていないように知らない顔をしている彼女に「良い子だ」と心から褒めてあげてください。
彼女には、意味が分からないとあなたは思っていても褒めてください。
彼女は、褒められることに最初はなれません。
しかし、次第に自分が褒められることに気づきます。
J子先生は、梅子さんの大泣きは、私の問題だと気付いてくださり、梅子さんの生活記録の中に私が笑顔を作っていた時間をハンコにして書き込むようアドバイスを頂きました。
最初、生活記録は梅子さんの行動や状態の記録であって、何故、私の表情なんだろう?と思いました。
私の梅子さんに向ける表情を生活記録に書くことで、次第に自分の向き合い方に意識が持てるようになりました。
私自身、笑顔の意識が持てるようになってきたら、梅子さんの大泣きが始まるときには、決まって私は梅子さんより先に怒っていました。
私は重度発達障害の子供が大泣きするのは、子供の方が悪いとばかり思っていましたが実際は違っていました。
このように私自身が自分に意識できる記録をつけれるようになってから少しずつながら梅子の問題行動が減って来ました。
重度発達障害の子供を観察し記録するやり方は、「【家庭療育】重度発達障害児の問題行動の記録方法を解説」をご参考にしてください。
励ます
幼少期の梅子さんは、勉強嫌いでしたか?
はい。
厳密にいえば、勉強嫌いというよりも勉強の内容が分からないからどう表現すれば良いのか分からず大泣きしていたと言うのが正解です。
梅子さんのような発達障害の子供は、分からないから嫌なだけで分かれば見事に勉強にはまります。
梅子さんは、重度発達障害なので、1つの課題を教えても、全てを覚えるのに年単位の月日が必要でした。
最初、梅子さんには自分なりに丁寧に教えているつもりなのに何故出来ないのだろうか?と考え、私がイライラする事が多かったです。
私のイライラを見て梅子さんは、私との勉強を非常に嫌がっていました。
そうやって勉強嫌いの梅子さんを作り上げていきました。
梅子さんは、自分がわからない事を理解していたので、「分からない」と大泣きで訴えていました。
でも言葉で「分からない」とは言えない梅子さんです。
発達障害児は、たくさん思いを持っていても、他者にアウトプットできる表現方法は、1つもしくは2つ程度です。
泣くという行為
- 分からない
- 自分にはできない(自信ない)
- 知らないことは怖い
「笑う」という行為
- おかしい・面白い
- くすぐったい
- 痛い
- 分からない(分からないから笑うしかない)
どちらの表現方法も子供の思いを汲み取るには、非常に分かりづらい表現方法です。
課題学習に泣くという事は、「分からない」という思いからくる表現です。
分かりづらく困っていると捉えると、「大丈夫!絶対にできるよ!」と言って子供の手を取り、全介助で課題を進めます。
発達障害児の梅子さんを1日のうちで励ます事が唯一できる時間は、課題学習以外には見当たりませんでした。
普通、私たちの生活の中にも励まされることって正直少ないです。
課題学習を設定して子供に少し分かりづらい問題を取り組む事で、いくらでも子供を励ます事ができます。
励ますためにも課題学習を子供と取り組むこと…
今でも心を育てる療育を行うために必要な事だと考えています。
- 重度発達障害の子供を励ますために課題学習を通して時間を作る
- 課題学習で大泣きしているときは、分からないという表現
- 分かりづらさがあるから励ますことができる
- 日常生活の中では、励ますチャンスがこない
- 最初は分からない課題学習でも全介助で励まされながら学んでいくと子供自身に「自信」がついてきて自己肯定感が高まる
子供の自己肯定感の高めかたは、「【家庭療育】重度発達障害児によるセルフ・エスティームの高め方について解説」をご参考にしてください。
子供とまず始めに取り組む課題学習「家庭療育】重度発達障害児に算数を教える必要性を解説」と「【家庭療育】重度発達障害児につけるべき7つの算数課題について解説」をご参考にしてください。
褒める
次に褒めることも発達障害児にとって数少ない経験だと思います。
うちの子を問題行動ばかりで褒めることなどありません。
確かに普段、生活を共にしていたら問題行動の多い我が子を褒めるところなど見当たらないと思います。
梅子さんもそうでした。
しかし、いざ梅子さんと課題学習をすすめると、褒めるところが出てきて次第に1つ、また1つと褒めれる箇所が増えて来ました。
健常児でも褒められることって正直、そんなに多く経験できる事ではないかと思います。
「褒める」は「励ます」同様、課題学習の中でいくらでも出てきます。
しかし、私の場合、学習のできない梅子さん、そして大泣きする梅子さんにイライラしていたので、褒めてやることなど出来ませんでした。
梅子さんを褒めることの出来なかった私に笑顔のハンコを渡して、梅子さんの前では、笑顔でいるようにと教えてくださったJ子先生でした。
特に健常児が幼い場合、少しの事でも褒めてやると子供は喜ぶのですが、幼い発達障害児は、褒められる経験が異常に少ないので、違和感を感じて変な表情をする事がよくあります。
それも回を重ねるごとに褒められることに喜びを感じてくるのですが、そこに至るまでにも時間が必要でした。
しかし、課題学習を継続することで次第に親に褒めてもらえる時間だと気づけば、積極的に自分から勉強したがるようになりました。
梅子さんも私の笑顔が増えることで、勉強が分からない時は、励ましてもらえ、課題をいやがならくなりました。
課題が出来たら「よく出来たね」と心から褒めてあげました。
しかし、テストをしても分からなかった場合、結果はどうあれ自分なりに判断してきたこと、梅子さんが分かりづらい中で考えて行動したことなどは、しっかり褒めてあげるようになりました。
100並べで1から20まで並べる事ができても、次の21のピースが分からなかったら、20までの判断が出来るようになった事を褒めてあげた上で、「分かりづらいね」と共感しました。
梅子さんに見本を見ながら全介助で21のピースを取らせておかせる事で、「よし!よくできたね!」と褒めてやりました。
親が子供の手を持って全介助しているので、判断は、ほとんど親がしているのですが、正直、親の言うことなど素直に聞けない子供が、親の指示についてきてくれた事は褒めるに値すると私は考えています。
梅子さんも1つ1つの私の指示に従うたびに褒めてやる事で次第に課題学習を誘っても大泣きする事がなくなりました。
100並べについては、「【家庭療育】100並べの教え方と心を育てる療育」をご参考にしてください。
以前書いた記事に「【家庭療育】怒ると叱るの違いについて解説」について書きましたが、「励ますと褒める」も非常に重要な事なので、ご参考になれば幸いです。
重度発達障害児にとって、食べる事は、体を育てる事ですが、学ぶ事は、心を育てる事(魂)です。
心を育てる療育に重きをおいていただけたら幸いです。
では!🌸桜🌸