Peach blossom(家庭療育ブログ)

【家庭療育 10】勉強の問題行動

🌸桜🌸です。

前回は、「療育 9(料理をなぜ教えるのか・療育まとめ)」について書きました。

今回のテーマは、勉強時の問題行動について梅子さんの経験を通して書いていきたいと思います。

早期療育をしようと思っているのですが、子供が嫌がって勉強になりません。どうしたらいいでしょうか?

🌸桜🌸

梅子さんも課題学習中は、大泣きで勉強どころではありませんでした。観察の中、子供の問題行動の背景を考えて、子供の言い分を理解していき、超えてきました。

今まで療育シリーズを書いてきて、子供にいざ勉強を教えようと思っても、大泣き、大暴れ、他傷行為、自傷行為などをして、教えられないんです…と言う事について書いていこうと思います。

梅子さんが幼少期、必死でネット検索した中のHPにいくつか療育系HPがありました。

そのうちの1つに梅子さんと同じような取り組みをしたお母さんのHPがありました。

軽度の娘さんの療育内容でしたが、課題学習の中身もしっかりされていて、問題行動もない感じで困った様子でした。

その方にメールしたり、設置されていた掲示板から連絡を取り、色々と教えてもらった経験があります。

その時にその方からJ子先生のことも教えていただき、外来セッションを受けた…と言うことも教えてもらいました。

当時は、右も左も分からなかったので、「そうなんだ…」くらいのものでしたが、後に自分と梅子さんが9年間通って勉強するとは思ってもいませんでした。笑 

運命って本当によく分からないものですね。

ただ、その方から教えてもらった当時、勉強を教えたくても梅子さんが気に入らないと大泣きし始め、勉強にならない…と言うことが何度もあり、どうしていいのか分からない私でした。

このHPの方のように課題を進められず、態度の悪い梅子さんに教えるなど不可能では…と思うようになりました。

そのうち、そのお子さんとお母さんだから素晴らしい課題学習が出来たんだ…とすり替えて思うようになりました。

重度発達障害の梅子さんには、違う話だったのでは…と考えるようになりました。

そんな時、違う別の人からJ子先生のことを教わりました。

梅子さんの幼少期編 3」をご参考にしていただけたらと思います。

そして、梅子さんが初めてJ子先生のところに行った外来セッションで勉強時に問題行動をする子供との向き合い方を教えていただきました。

その内容は、「梅子さんの幼少期編 6(外来セッション9)」をご参照して頂けたらと思います。

その後、今の梅子さんは、仕事から帰宅して梅子さんに「今日は、勉強するから」と口頭で伝えると片付け後、勉強する部屋に自ら入っていき、黙って座って私が来るのを待ってくれるようになりました。

人から学ぶことを知っているので、仕事も家も互いに無駄なエネルギーを使わず暮らせています。

人から学ぶ姿勢が身につくまでには、紆余曲折ありましたが、最初は、問題行動炸裂状態の勉強ですので、大変でした。

その勉強の時に起こす問題行動にどう向き合ったのか…について書いていきたいと思います。

  • 勉強を嫌がる子供の背景を知り、子供の気持ちを理解しながら、教えるべきところは教えて行く。
  • 勉強の時の問題行動は、認知の「分かりづらさ」からきている。
  • 同じ表現でも、子供の言い分や思いは違う。
  • 子供の言い分を見抜けるためにも子供の置かれている立場から考えて、教えている自分の行動や言動を振り返ろう。

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【家庭療育】問題行動・大泣き(1〜100並べ)

重度発達障害の梅子さんに100並べをさせたら、問題行動を起こすのは、当たり前では?

🌸桜🌸

もちろん、大泣きの大暴れでした。

でも、大泣きの背景は「分からないことは学ばない!嫌だ!」でしたので、梅子さんの言動には乗らず、淡々と教え切りました。梅子さんの言い分がわかれば、大泣きに引きずられることがなくなりました。

梅子さんは、「療育 5(数の世界)」にも書きましたが、100並べをするとき、大泣きしていました。

「勉強するよ!」と声をかけるだけで大泣きでした。

勉強開始に挨拶をするのですが、大泣きの状態で椅子に座らせ、全介助で1から順番に100まで並べさせていく…と言うのが毎日続きました。

大泣きするのは、最初から分かっていたので、いつも声が外に漏れないように、雨戸を一旦閉めてから、勉強を始めていました。

大泣きはしていたのですが、足をバタバタさせることもなく、大声で泣き叫ぶ状態でしたので、50くらい置いたところで、少しずつ泣き止んでいきました。

そして、80〜90くらいのところで泣き止み、100まで置いてから次に片付けさせるときには、ケロッとしていました。

これが梅子さんとの100並べの課題学習の様子でした。

梅子さんの100並べの問題行動を通して、言い分は以下のようでした。

最初に勉強するよ!の声かけについては、「何をするのか分からないから嫌だ〜!お母さん、顔がマジで怖い〜!」

挨拶をするときの大泣きは、「勉強って分からないから、嫌だ〜!」

1から50まで並べている最中は、「もう訳分からないから嫌だ〜!やりたくない〜!!」

50〜100まで並べている時は、「半分まで終わったみたいだから、少し頑張るか…ぐすん。」

100まで置いて次に1から順に片付けるときは、「あとは、片付けるだけだから、楽勝〜!」

とまあ、毎日、こんな心のやりとりが梅子さんとありました。

そのうち、1〜100が見え始めてくると、泣き止み、ピースの順番を考えるようになりました。

人間って、考えるようになると問題行動なんかせず、必死で取り組むようになるんですよね。

上記のような赤字の言い分が分かると、教える側もイライラが少なくなり、「ああ、はいはい。」と言うように心の持ちようが変わってきました。

要は、しゃべれない子供の言い分が何なのかを知ること…それが分からないから不安になり、嫌がることをさせ続けると心が壊れるのではないのか?などと言われてしまい、教えることにストップがかかってしまいます。

大泣きしようと大暴れしようと、生きる力をつけるために教えなければいけないことは、最後まで教え切ることが大切なんですね。

結局、梅子さんは重度自閉症のまま小学校低学年で100まで知ることとなりました。(今でも十分、重度自閉症ですが。笑)

そして、心も壊れず、未だに健全に働いております。笑

  • 子供の問題行動の背景を知ることで子供の言い分が見えてくる。
  • 分からないこと、知らないことを学ぶことについて、子供は非常に嫌がる。
  • 教える課題は、将来、必要なことだと割り切って教え切ることが大切。
  • 問題行動に引きづられないように、淡々として教える。
  • 低い声で指示は短めに出して100並べをさせていった。
  • 子供は、どんなに問題行動をしても譲ってくれないと分かると、次第に落ち着いてくる。

【家庭療育】問題行動・大泣き(書く)

子供が、書くのが苦手で教えようとしたら逃げたり、暴れたりですごく嫌がります。梅子さんは、どうでしたか?

🌸桜🌸

梅子さんも書く課題は、抵抗がすごかったです。

そのため、梅子さんの後ろに回って全介助でリズムに合わせて書かせていました。

梅子さんは、クレヨンさえ手に持つことが分からないくらいの重度自閉症児でしたので、持たすだけでも大泣きでした。

その上、プラスαで書かされるとなれば、さらに大泣きの上に火に油でした。

顔を真っ赤にして、大声で叫ぶように大泣きでした。

大声をあげながら、手で激しく顔をこすり、こすりすぎてアザだらけの顔になっていました。

そんな梅子さんに全介助で何度も文字をなぞりがきさせた様子は「療育 6(文字)」をご参考にして頂けたらと思います。

梅子さんは、「書く」と言う行為が生きるために必要なのかを理解していなかったので、怒るのも当然です。笑

文字と言うものが訳の分からないものでした。

曲線が見えづらい梅子さんにとっては、曲線を含む「2」や「平仮名」は、書かされる時点で怒り心頭になる気持ちも分からないではありません。笑

全介助で書かせるたび梅子さんは、のけぞって嫌がり「大泣き」で「もう意味が分からない!なんで無理矢理こんなことをさせられるんだ〜!怒」

と言うお怒りと共に私に訴えていました。

あくまでも梅子さんは、重度自閉症者なので、上記のセリフを私に言えず、自分の持っている非常に数少ない表現方法の「大泣き」で現していました。

そんな時は、私もJ子先生のアドバイスをもとに、何も梅子さんを責めずに「また、文句言ってるな…」と言う感じで梅子さんの大泣きに飲み込まれず、教えたいこと、伝えたいこと(例えば、2を各練習していたとしたら、「2」という言葉だけを発していました。)を梅子さんに言って、淡々と書く練習をしました。

文句は受付ませ〜ん!以上!と言う態度をとって、必要なことに焦点をあてて教えていました。

  • 文字を書く練習を嫌がる場合、後ろから全介助で子供の手にクレヨンを握らせ、指揮者のように何度もリズムで書かせていく。
  • 文字を書くことがいかに書字困難を持っている発達障害児には、難しいのかを理解する。
  • 書字困難を理解した上で、必ず書けるようになるという希望を持って取り組むことが大切。
  • 子供の言い分を理解した上で、取り組むことが大切

【家庭療育】問題行動・大泣き(書き写し)

梅子さんが文字を書けるようになってからは、慣れてきたので、泣かなくなりましたか?

🌸桜🌸

いえ。

梅子さんは、1文字ずつ書くのがやっとでしたので、本の書き写しは、すごく嫌がって大泣きでした。しかし、子供の大泣きに引きづられず、書かせ切るという態度でいたら、大泣きのテンションは下がってきました。

結果、全て書き終わることが出来ました。

梅子さんは、文字がようやく辿々しく書けるようになったのですが、連続して書くと言うのが非常に難しかったです。

書き写しを本格的にしたのは、J子先生のセッションで「スーホの白い馬」を書いた時でした。

この時、梅子さんのセッションでは、関西のグループホームで有名な取り組みをしている施設の職員さんが見学にきていただいていました。

最初は、すごく穏やかに進んだ課題でしたが、書き写しの課題になり大泣きが始まりました。

この時、梅子さんに一緒に助手のT先生が書かせきるんだ!と言う姿勢で課題学習を進めてくださり、結局、梅子さんは、中盤になり一緒にT先生について本を見ながら書き始めました。

職員の方は、梅子さんの激しい大泣きの文句に最初、圧倒されてしまい、気持ちが激しく揺さぶられた…と後から聞かされました。
実際、私もそうでした。

梅子さんは書き写しに対して、「こんな新しい課題学習、やったことないし、嫌だ〜!私に出来る気がしない〜!!!嫌だ!大泣きして、諦めさせてやる〜!」

と言うことが言いたかったようでした。

その言葉を知っていたJ子先生は、絶対に梅子さんを怒らず、静かに声のトーンを落として、低い声で「書きなさい」と言うだけで、梅子さんの大泣きに引きずられることは、ありませんでした。

こんなに激しく顔を真っ赤にして大泣きしている梅子さんに私は、最初、書かせきることができるのだろうか…と自信を喪失しました。

しかし、J子先生の態度でいくら大泣きしてもダメだ…とわかった梅子さん。

途中で静かになり、ただT先生と最後まで書き写しをしました。

この時の様子を数年後に再会した職員さんに「私にとって、梅子さんのセッションが今でも忘れられません。」と教えて頂けました。笑

J子先生は、いつも私に「子供の言い分が分かるから、怒ることはありません。」と教えてくださいました。

ここが療育のキモなんだといつも思います。

子供の言い分が分かれば、私は、それを逆に言葉にのせてやるようになりました。

「◯◯って言いたんだろ。笑 気持ち、分かるわ〜!!でも、それってルールでダメなんよ。仕方がない。」と言う言葉で梅子さんに声をかけています。

最後の「仕方がない」と言うセリフがいつも決め台詞となっていったので、梅子さんは、その言葉を聞くたび、おうむ返しで言いながら、次第に気持ちに折り合いをつけていくのが分かりました。

  • 大泣きの意味がわかれば、子供を責めることがなくなる。
  • 大泣きの裏側になる背景を知ることで、それは、我がままなのか、SOSなのかがで見えてる。
  • 苦手なことを嫌だ!と表す表現が1つくらいしかないので、どんな状況も大泣きで表してくる。
  • 書き切らせる!という思いがあれば、子供にも伝わる。

【家庭療育】問題行動・大泣き(牛乳パック)

ある日、梅子さんに牛乳パック切りを頼んだ時、すごく怒り出しました。

普段、課題学習の机上でさせていたのを、リビングでお願いしたら怒り出したと言うものでした。

梅子さんは、どうして起こり出したのでしょうか?

🌸桜🌸

梅子さんは、場所でする、しないを決めていたことと、突然、頼んだことで頭にきたようでした。

梅子さんの言い分は、「ここは、勉強しない場所だろ!嫌だ!絶対にやりたくない!」と言うものでした。

私は、場所を選んでやるかやらないかを決める主導権を梅子さんに握らせてはいけないと考えました。

そのマインドは、梅子さんの機嫌に左右されかねず、仕事についた時、非常に職員さんに迷惑をかけるマインドだからです。

鬼滅の刃の名言、「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」と言う事なんですね。

梅子さんに生殺与奪の権を握らせてはいけない…私が「牛乳パックを切りなさい」と言えば、指示を通させなければいけない!と言う事なので、私は、「それじゃ、切らないのであれば、昼食はない!」と伝えました。

梅子さんは、知らん顔をしていたので、そのままご飯を食べず、その後、私とよく歩いていた山登りに連れていき、帰宅しました。

山登りの最中は、互いに黙っていましたが、帰宅後、リビングの机の上にある牛乳パックを見せて、「牛乳パックを切れば、一緒にご飯を食べます。切らないのであれば、ご飯はないです。働かざるもの、食うべからず!」とだけ伝えたら、急いであっという間に牛乳パックを切り終えていました。

お腹ぺこぺこだったのと、このまま我を通せば、自分が損する!と理解したようでした。

J子先生は、いつも私に「発達障害児は、善悪で説得できません。これは、いけないこと、悪いことよ…と言っても伝わりません。言い聞かせられないのです。しかし、損得で判断します。自分が損をする!と分かれば、動きます。」と教えていただきました。

障害者というくくりではなく、「人間」と言う生き物を知り尽くした結果、子供に対して、どう向き合えばいいのかをいつも教えてくださいました。

常に子供の問題行動の背景をしっかり把握して出来ることです。

例えば、子供の立場が理不尽な場合だと指導者が暴君になりかねません。

常に問題行動の「背景」をしっかり把握することが必要になります。

  • 問題行動の背景には、何があったのかを理解すること。
  • 子供が起こしている問題行動は、ワガママなのか、それとも困っているのかを見極める。
  • ワガママなら、損をしてもらう。
  • 困っているのなら、どこを分からないとしているのかを考え、分かるように対策を立てる。
  • 問題行動は、子供のSOSでもある。

【家庭療育】問題行動・大泣き(カラクリ時計)

梅子さんの苦手は、カラクリ時計でした。

でも、梅子さんからすれば、カラクリとそうでない時計との差が分からず、どの時計を見ても大泣きで、決して、時計のある部屋に入ろうとしませんでした。

どうして時計を怖がるのでしょうか?

🌸桜🌸

梅子さんは、時計の針や数字を怖がっているのではなく、カラクリで動くメロディや人形などが怖かったようでした。でも、どれがカラクリ時計でどれがカラクリ時計ではない…という分類が出来なかったので、全ての時計が恐怖でした。

梅子さんは、定時になった時、カラクリが突然、音を鳴らして動き出すのが、おばけのように見えて、「うわ〜!!!でた〜!怖い!!!」と思ってしまい、非常に怖がって大泣きしていました。

この中途半端に物事を捉えてしまう力が非常に厄介でした。

梅子さんを見るたび、絶対に時計の理論を教えてみせる!と心に誓っていました。

J子先生の所で時計の課題が始まった時から、すごく時計の課題に力を入れました。

結果、4年の歳月をかけて、梅子さんに時計を理解させました。

その4年の歳月の中で、少しずつ時計を怖がることがなくなり、今は、毎朝、腕時計をつけて出勤しまいます。笑

要は、中途半端な物事の理解が発達障害児を苦しめていると言うことがよく分かりました。

そこをカバーするのが教育です。

でも、言葉が通じないから、理屈で教えられない…

それならば、課題学習に組み込んで理屈を入れながら、時計とは一体、何の道具なのかを教えました。

時計とは、時を図る、「秤」なのです。

しかし、時の長さは、目に見えません。

それを可視化したのが時計という道具なんですね。

今の梅子さんは、普段、のんびりしているタイプです。

中学校から高校にかけて路線バスの練習をしているときに、「あと◯分でバスがくる」とか決められた時間に遅刻して目の前でバスが行ってしまう経験を何度もしました。

経験からバスに間に合うように早歩きで歩いたり、非常に時計を気にするようになりました。

バスの練習から、時計というものを知り、時刻をよく見るようになりました。

時計という道具を使いこなすうちにお化けの時計から秤の時計として認識してくれるようになりました。

時計を怖がる…という問題行動は、教育によって克服できるということが梅子さんで証明されたな…という思いです。

問題行動は、牛乳パックのように時には、対決する時もありますが、時計のように理解によって克服する時もあります。

問題行動の背景を知ることがで、子供をどう導くのかが決まってきます。

背景をしっかり把握すること…それが療育者のすべきことだと思います。

  • 分かりづらさから恐怖に感じて問題行動を現す場合がある。
  • 認知の問題によって問題行動を出している場合、課題学習を通して、理解にまで導いて、怖さを克服させる。
  • 分かりづらさを超えたら、何事もなく日常生活を過ごせたり、使いこなしたりしている。

【家庭療育】大泣き(マラソン)

梅子さんと最初、マラソンを始めたのは小学校低学年でした。

数日経過した時、梅子さんは、「また走らされる!!!嫌だ〜!」ということで最初から大泣きでした。

マラソンが嫌いなんですね。

🌸桜🌸

走るという動作も苦手な上にしんどい!となれば、嫌で仕方かなったのだと思います。「嫌なことはやりたくない!」というのが梅子さんの思いでした。

前もって絵カードなどで伝えていても、いざ走らせようとすると大泣きの梅子さん。

当時、家からかなり離れた木工団地に車で行き、夕方の誰もいなくなった木工団地の中を2.5キロ走っていました。

大泣きさせながら、手をつないで走り終わってもまだ大泣きでした。

よほど梅子さんは、腹が立ったのだと思います。

「こんなしんどい思いをして走りたくなかったのに〜!こんなの嫌だ〜!!!次から、絶対に走らない!」というような文句を走り終わった後でも大泣きで訴えていました。

私は、その様子を見て、一緒についてきていた主人に頼んで、主人だけ先に車で帰ってもらいました。

そして梅子さんに「今から家まで走ります。」と一言言って、手を繋いで走って帰りました。

途中、暗くなって雨も降ってきましたが、そのまま5キロ以上の道を走って帰宅しました。

その次の日から梅子さんは、マラソンの時は、絶対に大泣きしなくなりました。

どうして大泣きしなくなったのですか?

🌸桜🌸

梅子さんは、A or Bで考えたのだと思います。
文句を言わずに走れば、A.木工団地内ですむこと、B.文句を言えば、木工団地+家まで走らされること。その2つのうち、好きな方を選んだだけなんですね。笑

この「A or B」の選択肢の考え方は、梅子さんの行動を整えて行くのに、非常に役立ちました。

行動の選択肢こそ、梅子さんにとって、人生の選択肢であり、自分のあり方や行動を考えるきっかけになりました。

そして小学校4年くらいの時から早朝マラソンに切り替えました。

揉めることもなくマラソンを続けました。

成人後の今は、マラソンではなく、早朝ウォーキングに変えて、3キロの道を朝の景色や空気を楽しんで、ニコニコして歩いています。笑

問題行動について梅子さんの言い分と1つ1つ背景の違いを交えながら書いてきました。

療育者は、観察から、子供の訴え(SOS)を知った上で、共感と理解を交えながら時には、対決しながら、時には、教えながら導くことが大切です。

問題行動は、療育者がその子供の言い分(SOS)を理解した先に必ず解決できる道があります。

その道を間違わない限り、子供は問題行動を閉じてきます。

梅子さんと私の人生は、問題行動に向き合う時、どのように超えていくのかを常に意識し、悩まず、考え抜いて行動し、変えてくる…という連続でした。

今でも現在進行形です。

そこまでに至るには、山あり谷ありでした。

そのサポートをJ子先生が支えてくださっていたのでやり切ることができました。

療育は、独学でやるのは、本当に難しいです。

療育を適切にやり切った先輩や先生方から学び、自分と我が子の生きる力にしていくことが成功の鍵なのだと思います。

  • マラソンの大泣きは、運動が苦手な梅子さんにとって嫌だった。
  • 決められたコースで走るのか、それとも決められたコース➕家まで一緒に走るのか、選択を迫られた時から梅子さんが考えるようになった。
  • 発達障害児にとって、問題行動の表現は1つでも、それぞれに意味が違う。
  • 問題行動の背景を知ろう。

では!🌸桜🌸

成人になった重度発達障害者の梅子さんと一緒に課題学習を通して、心を育てる療育を実践してきた。ヘレンケラーとサリバン先生のような指示の通る関係の構築に尽力してきた。療育は、新居浜にあるトモ二療育センターで9年間勉強。現在、梅子さんは、地元の通所施設で毎日働いている。

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