Peach blossom(家庭療育ブログ)

【家庭療育】発達障害児の療育(目的と手段)

🌸桜🌸です。

今回は、一度、発達障害児に療育をする時、何故、療育をするのか?という原点について考えていきたいと思います。

子供が発達障害って診断を受けたんだけど、早期療育してください…と言われた。どうしよう…😓

🌸桜🌸

早期療育は、良いことだよね。でも、療育することで何を目指しているの?

 

療育をするという答えって、人それぞれだと思います。

例えば…

療育することによって、障害が軽くなるのでは?とか、発達遅れがなくなるのでは?とか、遅れている言葉が出てくるのでは?とかたくさん出来ることが増えるのでは…など、色々とあるかと思います。

下手したら、障害が消えてなくなるのでは?と思った方もおいでるかと思います。

我が子に障害があると分かってから、療育という言葉に希望を持たれる方がたくさんおいでるかと思います。

私もそうでした。

早期療育をするということに希望を持っていました。

2歳になっても言葉が出ないので、療育をすることで言葉が出てくるのでは?と思ったり、トイレトレーニングがまだできていないので、トイレがすぐに取れたりするのでは?と思ったりしました。

また、重度発達障害児なので、軽度になっていくのでは?という淡い期待もありました。笑

でも、梅子さんが3歳で発達障害(当時は、重度自閉症)と診断された時は、「療育をすることで何を目指しているのか」なんて考えたことはありませんでした。

とにかく1日も早く療育を始めたい!…という焦りだけでした。

しかし、療育に対して深く考えていなかった周りの保護者の方々は、子供が成長していく段階で療育がどこかおざなりになり、結果、子供の年齢が上がると療育熱も冷めてしまいました。

預かってくれる所さえあれば、もうどこでもいい…というふうになっていった保護者の方をたくさん見てきました。

そのような中、J子先生の療育センターでは、目指すべきことがハッキリしていました。

私の療育熱がさほど覚めることはなかったです。

梅子さんが18歳になるまでには、パニックもなくなり、時計、数概念、お金の知識、文字、読み、計算、料理、刺繍、水泳、カレンダー、身辺自立などを梅子さんに教え、獲得させることが出来ました。

ある日、何故、私は、梅子さんにこんなにも膨大な熱量を注いで、教えているのだろうか?と思うようになりました。

そのきっかけになったのがYouTubeのリベラルアーツ大学の両学長の教えてくださった「目的と手段」という言葉でした。

山に行くのに、水着や浮き輪を持っていくのはおかしいし、海に行くのに、山に必要な道具を持っていくのもおかしい

この言葉を何度も繰り返し聞くうちに、私には、しっかりとした成人後の梅子さんへのビジョンがあったことに気づきました。

障害のある子供に将来のビジョンを持つこと…

この重要性を書いていきたいと思います。

精神科医の子育て論 (新潮選書) [ 服部祥子 ]
価格:1320円(税込、送料無料) (2021/2/21時点)


療育の目的…子供にどのように成長してほしい?

🌸桜🌸

障害程度に関係なく、将来、お子さんにどのように育って欲しいですか?

う〜ん😓…考えたこともない。今が必死だから…

 

お子さんの将来にビジョンが持てないと今後、育てていく過程でお子さんに対する諦めや自分の人生から逃げてしまうことにつながってしまいがちです。

せっかく療育した内容も無駄に終わってしまいます。

療育が無駄にならないように、しっかりビジョンを持って育てていくことをお勧めします。

それでは、🌸桜🌸さんは、梅子さんに将来、どうなって欲しかったのか教えてください。

🌸桜🌸

梅子さんと当たり前の生活をしていきたかったです。

1.確実に指示の通る関係
2.学びとは人から教わるものである…という事を教えた
3.謙虚さ
4.暴力は絶対に振るわせない

この4つの事柄を梅子さんに教えることでした。

そして、当たり前の生活ができるようにと考えました。

当たり前の生活…重度発達障害のお子さんと暮らすのに、この当たり前の生活を送ることがいかに難しいのかは、今、子育てしている方も既にお子さんが成人されているご家族の方も分かって頂けるかと思います。

あらゆる問題行動とパニック、理解に苦しむ行動など、どれをとっても気の休まる間もなく、24時間見張っていなければいけない状態です。

子供の世話で正直クタクタになるという状況です。

外食をしたくても、レストランになかなか入れない方もいます。

他のお客さんの料理に手をつけてしまう方もいらっしゃいます。

大声が出てしまうので、静かな所に連れて行けない…

多動でどこかに一人で行ってしまう…

気に入らなければ、自傷や他傷行為を行う。

数え上げたらキリがないくらいの問題行動に振り回されてしまい、心身ともに疲弊してしまうご家族もたくさんおいでるかと思います。

私も以前は、そんな一人でした。

そんな当たり前の生活を送るために、上記の4つの事柄について療育という形で教え続けてきました。

その4つの事柄を無事果たして、成人を迎えた梅子さんと今は、大変ながらも穏やかに暮らすことが出来ました。

  • 梅子さんが成人しても家で当たり前の生活が送れるために療育を開始した。
  • 梅子さんにどんな大人の女性になって欲しいのか明確に頭の中で描いた。
  • 自分の描いたビジョンのようになってもらうために療育に取り組んだ。

療育の目的を果たすためには手段が必要

将来、子供と当たり前の暮らしを送れるようにしたいけれど、どうすればいいの?

🌸桜🌸

ゴールが決まれば、あとは、療育という名前の手段を駆使して教えていきます。

この当たり前の生活を送るというゴールに辿り着くために「手段」という道具が必要でした。

その手段こそがJ子先生が教えてくださった療育でした。

重度発達障害児のお子さんは、まず人から学ぶことを知りません。

だから、いざ教えようとしても子供が分かりづらくなり困ってくると教材を投げたり、教材を見なかったり、椅子から逃げようとしたりと教えづらい状況に陥ります。

この態度の解説については、「早期療育」の記事に書いてあるのでご参考にしてください。

しかし、100並べなど関係性を教えていく中で、人から学ぶ事を知り、次第に指示の通る関係が構築されました。

梅子さんは小学校低学年の頃は、毎日、数字の100並べに取り組んでいました。

1日1回取り組むことで梅子さんは、並べと片付けだけで私の指示を200回聞くことになりました。

例えば20日間、取り組むと4000回、私の指示を聞くことになります。

半年継続した24000回、私の指示を聞いて動いていました。笑

そんなに指示ばかり聞いたら、流石の自由奔放な梅子さんも指示に従わざるえなかったです。笑

並行して、マラソンと山登りを取り組むと、指示の通る関係が強固なものへと変わっていきました。

親のやらせきる!という思いが梅子さんに伝わり、泣いても怒っても無駄だと悟って、指示が通るようになりました。

しかし、子供も成長する過程で自分ができる人間だということを勘違いし、暴君のように振る舞う日が来ました。

その時は、しっかり損をしてもらって、社会の中では、小さい存在であることを認識させていきました。

人は、1人では生きてはいけないことを教えるためには「謙虚」という事を教える必要があります。

梅子さんには、長文の書き写しをノートに何冊も書いてもらいました。

書くことで心が次第に穏やかになりました。

何冊も書くうちにあの態度が悪かったんだろうな…と重度の梅子さんでも気づき、次の日から態度を一気に変えてきました。

梅子さんは、早期療育をしていたこともあってか、暴力はしませんでした。

梅子さんの問題行動は、大泣きの一択でした。

とはいえ、大泣きで周りの人たちを振り回していたので、暴力とさほど変わりませんでしたが。

そんな大泣きを止めたきっかけは「梅子さんの小学校編 15 (問題行動 大泣き)」に書いていますので、ご参照ください。

しかし、この問題行動を解決しなければ、すぐに思春期を迎え、親の力と子供の力が逆転してしまうので、真剣勝負で取り組みました。

この真剣勝負がなければ、今頃、梅子さんはまだ大泣きをしていたに違いありません。

療育をしていく過程で問題行動に対する「真剣勝負」の場面は、必ずきます。

そのことも覚えていただけたらと思います。

  • 子供の将来像を描いた後は、具体的な方法で課題学習を進めていく。
  • 100並べは、人から学ぶことを知らない重度発達障害児に200回、指示を与えるので、学習態度を教えることができる。
  • 時には、子供と対決する時もある。

療育をするにあたり、自分の人生を深く考えることが重要

なんだか、療育することに自信がなくなってきた…汗

🌸桜🌸

手段を選ぶ前に、まずは、自分が子供とどう生きたいのかを深く考える事が大切です。

実際、療育という方法には、たくさんの種類があります。

例えば、TEACCHプログラム、マカトンサイン、PECS、感覚統合法、ビジョントレーニング、ABAなど。

どの療育手段を選ぶのかは、もちろんお子さんの障害特性にもよって変わってくるかと思います。

しかし、手段はあくまでも手段なんです。

本質は、将来にわたりお子さんと、どのように生きたいのか…ということなのだと思います。

ゴールが明確になり、手段がお子さんの特性にあえば、伸びてくるのだと思います。

ちなみに、梅子さんは、感覚統合とPECS、マカトンは、分かりづらさが重たいので、やはり合いませんでした。

どんだけ重度やねん!と正直思いながらJ子先生の教えてくださったタイルという教材を極めました。

余談になってしまいましたが、お子さんとどう生きたいのか…自分の人生を深ぼって考えていただけたら、療育熱も下がらないと思います。

  • 子供に将来、どのようになって欲しいのかを描くことが重要。
  • 子供の分かりづらさの特性を知り、手段にあたる療育方法を選ぶ。
  • 子供とどのように生きたいのかを明確にすること。

では!🌸桜🌸

成人になった重度発達障害者の梅子さんと一緒に課題学習を通して、心を育てる療育を実践してきた。ヘレンケラーとサリバン先生のような指示の通る関係の構築に尽力してきた。療育は、新居浜にあるトモ二療育センターで9年間勉強。現在、梅子さんは、地元の通所施設で毎日働いている。

モバイルバージョンを終了