🌸桜🌸です。
療育6では、重度発達障害児に文字を教えよう!ということを書きました。
今回は、早期療育中に教えてあげてほしい知識の1つ「タイル」について書いていきたいと思います。
タイルって何ですか?
障害児のために作られた道具で数を面積で表しています。
うちの子、計算はできても、お金が支払えないの。1000円札1枚で買い物してお釣りをもらっても、小銭を見て、お金が増えた!って喜んでいるの。
発達障害あるあるですよね。でも、数をタイルで現すことで、1000円の面積を現すタイルが明らかに減るから、目で見てお金が減ったことに気づけます。
そもそも「タイルとは、なんぞや?」ということですが、水道方式を元に障害児専用に改良した算数のツールです。
タイルを使用して、梅子さんに生きるために必要な力を教えてきました。
タイルで100まで教えたのだから、1000や10000までタイルで教える必要ってあるの?
重度発達障害児は、数字だけでは、数字に伴う大きさに気づけません。
いわゆる「1」という数字に1に値する面積があり、1000には、「1000」に値する面積があります。しかし、数字だけでは、「値する大きさ」に気づけないのです。
数字も絶対に覚える必要はあるのですが、それだけでは、発達障害者にとって理解にまで至りません。
数字の理解の上に、タイルがどうしても必要になってきます。
お金を支払っても増えた!と喜ぶことなく、支払うと減るんだ…という知識を身に付けさせてあげてください。
- タイルは、発達障害児・者のために作られた数字を面積で現すツール
- タイルは、数字に伴う面積を可視化してくれる
- タイルは、お金の課題以外に、計算、重さ、カレンダー、時計、長さなども教えることができる。
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【家庭療育】タイルって何?
「タイル算」って聞き慣れない名前だと思います。
梅子さんの「小学校編 4」にもタイルの100並べについてサラッと書きましたが、タイル算を重度発達障害者に取り入れることで、数に量が入っていくという仕組みなんです。
数字を面積で現す?どういうこと?
数字=面積として可視化する道具。それがタイルです。
「療育 5(数の世界)」の中で1〜100までのアラビア数字を発達障害児に教える大切さについて書きました。
しかし、アラビア数字を教えるだけでは、重度発達障害児にとって何も使い物になりません。😓
例えば、軽度の方でも見受けられるのですが、計算はすごく得意なのに、お金の支払いが全く出来ない…というお子さんがいらっしゃいます。
アラビア数字と現実のお金が全く結びついていない…ということです。
後に、サラ金など高利の借金に気軽に借りてしまい、大変なことになる…という所まで繋がってしまいます。
また、数字が何桁も読めても、「◯個ください」が全く出来ないお子さんもいます。
いくら算数を教えても結局、無駄…という風に周りに見られてしまいます。
いい線まで来ていても、肝心のところを超えることができず、宝の持ち腐れになってしまいます。
アラビア数字の理解とその数字の背景にある面積をタイルで入れてやることで、お金の支払いや長さ、個数、時計、カレンダー、重さなどの深い理解に導けます。
- タイルが入っていないと、計算だけできてもお金の概念がわからない。
- お金の知識(マネーリテラシー)がないと、後に多額の負債を抱えてしまう人もいる。
- 数字が読めて書けても、「◯個ください」と言われたり、数字を見せられても個数が渡せない。
- タイルによって、数字の向こう側にある量や大きさ、長さなどがはっきりする。
noteの方に1〜10のタイル並べについて、解説しているので良かったらご参考にしてください。
【家庭療育】なぜ数字だけ教えていてはダメなのか
どうして、数字だけ教えていたらダメなのでしょうか?
数字だけでは、量や面積が想像できないからです。
アラビア数字だけだと、重さ、量、長さ、などの理解が発達障害児には出来ません。
発達障害は、「想像力の欠如」という障害を持っています。
数字からは、示している量や面積などを思い浮かべることが困難だからです。
数字はあくまでも「読み」だけのものです。
例えば「56」という数字が読めても、お金で支払う場合、例えば、1円玉56個で支払うのか、50円玉1個と1円玉6個で支払うのか、50円玉1個と5円玉1個と1円玉1個で支払うのか…ということが分かりません。
また、56円ちょうどのお金がなかった場合、10円玉何個出せば良いのか、50円玉何個出せば良いのか、100円玉何個出せば良いのか、500円玉何個出せば良いのか、1000円札何枚出せば良いのか、5000円札何枚出せば良いのか、10000円札何枚出せば良いのかさえ理解できません。
お金に関して必要な力は、アラビア数字と結びついた面積の理解と1対1対応の個数の理解です。
他にも重さに関して例えば、里芋230gをデジタル秤ではかる場合、230のアラビア数字が読めたとしても例えば、300gまで秤の上に置いたら、普通、70gオーバーしたので小さな里芋を1個くらい取り除けばいいのですが、梅子さんは、秤の上に里芋を追加してしまうか、秤の上に乗っている里芋の位置をお皿の中心から隅っこにおき変えて、230gにしようとします。😓位置を変えただけでは、230gにはなりません。笑
ちなみに、なぜこのような一見、おかしな行動をしたのかというと、梅子さんは「230」という数字は読めます。
しかし、この数字に「量」が伴っていると思っていないので、300gというのは、230gより重いのか、それとも軽いのか…ということは想像できていません。
そもそも重さという概念がなかったので、300gや230gが何を現しているのかさえも理解できていませんでした。
このようにアラビア数字が表している背景を知ることが出来ないのが発達障害児なんですね。
しかし、このアラビア数字が現している背景にまで結びつけてくれるのが「タイル」という教材です。
この教材は、ただの黄緑色の裏が方眼紙になっている工作用紙です。
正直、コスパは、いいです。笑
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アラビア数字とタイルを結びつけていくことを「汎化」という難しい専門用語で呼ぶそうですが、この汎化をさせることでその数字が何を示しているのか理解できるようになってくるということです。
- 数字だけでは、量や面積が想像できない。
- 発達障害というのは、想像力の欠如の障害なので、想像しやすくしてやる工夫が必要。
- タイルを使って加減を可視化していく。
【家庭療育】タイルから何を子供に教えていけるの?
お金以外にタイルから何を教えていけるの?
タイルという教材を通して、お金、長さ、時計、重さ、大きさ、個数を教えることができます。
タイルから教えら得るものは、お金、物差しの長さ、時計(24時間制で梅子さんに教えました)、数概念、重さ、量などあらゆる数字に関係することを梅子さんに教えてきました。
特に私が重点的に教えたのがお金でした。
もちろん、お金の理解に至るまでに数字を10000まで教え、計算も入れ、最後は、タイルの面積を通して、例えば、3698円の支払いに対して、1000円札4枚の支払いにするか、1000円札3枚+500円玉2枚にするか、1000円札3枚+500円玉1個+100円玉2個にするか、5000円札1枚にするか、10000円札1枚にするかなどなど、あらゆる金種の支払いレパートリーがあることを教えました。
この各金種の価値を目で見て分かるようにするのにタイルがなければ教えることが出来ませんでした。
お金だけでなく、時計も料理で使用する個数の概念、水の量などなど多岐にわたります。
梅子さんは、計量カップを使って休みの日は、お米を炊いてくれます。
その時は、計量カップの線にきちんと測って、何杯入れるのかも理解して測っています。
タイルを実生活に落とし込むことで自分の力で考えて、できることが増えます。
- タイルは、お金、長さ、量、面積、体積、時計など、数字に関係するものを教えることができる教材
- お金に関しては、ちょうどの支払い以外に、少し上の金額の支払いなども教えていける。
- 実生活にタイルの概念を落とし込むことで料理などにもいかされる。
【家庭療育】タイルを覚えることで得られるもの
タイルを教えたことで🌸桜🌸さんは、何か得られたことってありましたか?
梅子さんの中にある深刻な分かりづらさを理解できました。発達障害者って、一見、普通に見えるから深刻さに気づかないんですよね。
タイルを通して、「1」という数字には、1という量が入っていきます。
発達障害のお子さんは、「1」という数字を見ても、1という量が入っていませんので、計算ができるようになってもお金に結びつかない…ということが起こります。
この数字というのは、あくまでも量を記号化したものです、
言い換えれば、記号に量が入ることで、分かりやすくなります。
発達障害があるということは、上記の里芋の重さをはかったエピソードのように「分かりづらさ」を抱えています。
「分かりづらさ」の影響によってさらに「生きづらさ」を抱えることになります。
「分かりづらさ」って誰の目にも見えないんですよね。😓
そこが発達障害者への理解不足の原因になっています。
現在、発達障害を知ってください…という名称の啓発活動は活発にされています。
本当にありがたいことです。😀
しかし、発達障害の本当の正体については、いまだに理解されづらいところにあります。
発達障害の人たちに幸せになってもらうためには、「真の理解」=「認知の障害」であることを知っていただきたいと願っています。
分かりづらさを抱えているからこそ、周りの人たちに「この人、ここが分かりづらいんだな…」という理解を得られるだけでも、本人たちは、ほんの少し緊張がとけるかも知れません。
もちろん、周りの人たちも、勉強と観察力は必要になってきますが、互いに歩み寄るためにもJ子先生がいつもおっしゃっていた「知識ある愛」で良い関係を構築できると思います。
最後に、もっと具体的なタイル算や100並べなどを教えて欲しい!という方のためにJ子先生の療育センターが出している本の紹介をします。
この本には、具体的な療育の方法や考え方などが掲載されています。
ご参考までにリンクを貼らせていただきます。
発達障害者の方が生きづらさを感じて生きるよりも、理屈やルールを理解した上で分かりやすく生きていく方が、安心して暮らせます。
そのために指導者が知識をつけてください。
サリバン先生がヘレンケラーを育てていったように。
発達障害者の人生が今よりもより自由により豊かになることを祈っています。
- 課題学習を通して、子供の中に抱えている分かりづらさを理解しよう。
- 子供に理解と共感をするためにも、周りの私たちが知識ある愛を身につけよう。
- タイルを通して、社会の中のルールを教えていこう。
次回は、手先の器用性についてお話したいと思います。
では!🌸桜🌸