Peach blossom(家庭療育ブログ)

【家庭療育】早期療育 2 数の世界、数から言語について解説

🌸桜🌸です。

今回、3歳の梅子さんと早期療育を開始してから算数について思っていた事を書きたいと思います。

早期療育の課題の中に算数を真っ先に教えるのはどうしてですか?

🌸桜🌸

重度発達障害の子供は「ルール」が分かりません。しかし、算数の課題を通してルールを教えていけるので、まずは、算数から教えていきます。

J子先生と出会って、最初に教えてもらったことは、療育界隈でも異色中の異色、「数の世界」から療育は出発しています。
療育は、言語療法や感覚統合などの療法から入り、子供と一緒に触れ合って、遊びながら育てていく…というスタンスかと思います。
しかし、冷静に考えてみたら分かることなのですが、幼少期の発達障害児がルールに沿って楽しんでいる姿なんて見た事がありません。😓
遊ばせようとしても集団から逃げてしまうか、パニックを起こしてしまいます。
悲しいかな…これが現実です。
健常児と違って、集団から外れ一人になり、自分なりの遊び(何かを並べたり、眺めたり、物をクルクル回したり、走り回ったり、高いところに登ったりなどなど)に没頭し、我関せずという感じです。

梅子さんも幼少期は、公園で他の子供たちと遊ばせようとしては、公園から必死になって逃げるばかりでした。

健常児が遊んでいる砂遊びやままごと、人形遊びなどは、全く興味がなかったです。

幼稚園に5歳から平行通園しても大泣きで全く集団に入ろうとはしませんでした。

重度発達障害児は、集団にも入れず、遊びもできない状態なのですね、そんな子供が早期療育から算数を学ぶなんて正直、難しいのではないのでしょうか?

🌸桜🌸

遊びは、ルールで成り立っています。算数を通して目に見えないルールの存在を教えながら、生きる力をつけていきます。

遊びは、暗黙のルールで成り立っています。
しかし、重度発達障害児には、目に見えない「暗黙のルール」は、分かりません。
暗黙のルールがある遊びに誘うものなら、嫌がって、逃げていこうとし、その度、親や先生に手をつかまれて、噛みつくか大泣きしパニックになります。
他にも、集団の中にいて、ぼんやりして突っ立っているだけで何もしません。
(まだ、他にあったらすみません。😓)
ルールの分からない重度発達障害児に1〜100を順番に教えることで規則性のあるルールの存在を知り、物事を整理して考える力をつけていくことができます。
並行して「タイル算」を入れることで、数字の背景にある「量」をしり、お金と結びついて生きる力に変えていきます。
タイル算を通して時計やカレンダーを理解し、行動も整えていくことができます。

現在の梅子さんは、紆余曲折はあるものの、基本的には、穏やかに生活している状態です。

パニックはなく、他傷行為もありません。

たまにポンと自分の頭を軽く叩くくらいで、それも1年に2〜3回あるかないかくらいです。

「怒らない」おっとりした女性です。

哀しむことはありますし、笑ったり、楽しそうにしていることもあります。

性格的には、あまり気に留めない人でもあるし、のんびりタイプの人です。

基本的には、伝われば指示は通ります。

現在、通所施設で働いています。

梅子さんは、重度発達障害者の中でもかなりマイノリティな人だと思っています。

でも、マイノリティとは書いたものの、生まれながらにして…という訳ではありません。

早期療育で算数を取り入れた結果、今の梅子さんの人格形成に大きく影響していると考えています。

そんな梅子さんが入った数の世界について、解説したいと思います。

  • 早期療育に算数を取り入れることが大切
  • 遊びの暗黙のルールが分からないから、算数で「ルール」の存在から教える。
  • 目に見えないコミュニケーションより、可視化された算数の世界の方が分かりやすい。
  • 早期に算数を取り入れることで生きる力をつけていく。
  • 算数を通して、頭の中を整理し、行動を整えていくことができる。

【早期療育】数の世界を教える重要性

早期療育で算数から取り組むことは分かりましたが、重度発達障害の子供に数字を1〜100まで教えるのは、無謀ではないでしょうか?

🌸桜🌸

数字の成り立ちは、非常に簡単です。0から9の数字の組み合わせです。それが規則性に沿って100まで成り立っているだけです。規則性があまりない会話より算数を教える方が楽です。

数字は、アルゴリズム(その手順に沿っていれば誰でも同じ答えが得られるものを指します。)なんです。

0、1、2、3、4、5、6、7、8、9の組み合わせです。
並びさえ頭に入れて仕舞えば、簡単です。

数字は、確かに0〜10の組み合わせですが、うちの子、重度なので10個の数字さえ覚えてくれる気がしません。

🌸桜🌸

重度発達障害は、確かに認知の障害です。しかし、老人の認知症とは全く違います。彼らは、分かりづらいだけで「短期記憶」も「長期記憶」もしっかりしています。忘れるのではなく、理解しづらいだけです。

重度発達障害児は、忘れていくのではありません。
理解しづらいからすぐに覚えられないだけです。
ただ、数字に関して、子供によっては、重度発達障害でも、すごいスピードで数字を覚えていく子供もいます。
決して、うちの子重度だから…と諦める必要はありません。

梅子さんの場合ですが、実は、非常に算数は苦手でした。😓

算数もコミュニケーションも苦手な梅子さんでしたので、勉強は壊滅状態でした。

療育センターに一緒に通い出した子供より覚えが圧倒的に悪かったです。

しかし、教え方や工夫が足りなかったのも影響しているので、仕方がなかったのかと思います。

私は、ガチの文系なので、理系の勉強を教えるのは、苦手だな…と思っていました。

そこで、私がとったのは、タイルを私が手作りして、数字やタイルの規則性に気づくことでした。

アルゴリズムの世界は、アラビア数字を扱っている国の人ならどんな人に1〜100まで数字カードを並べてもらっても、絶対に同じになるという事です。


教材を作りながら、数字の規則性を学び、梅子さんに教えていくことになりました。

発達障害の人は、アルゴリズムが入ってしまえば、落ち着いた世界でいられるということも梅子さんを通して知りました。

遊びという不確かで目には見えない暗黙のルールの中を嫌い、規則性に沿って置いていく100並べになれると、梅子さんも積極的に学びだしました。

梅子さんは、空気や気分でルール変更が起こる遊びなど、分かりづらくて嫌だった…んだと後から知りました。

不確かなものに怯え、絶対的な規則性のある世界をこよなく愛する発達障害の梅子さん。

指導する私と梅子さんの間には、親子愛ではなく、師弟の関係が出来上がってきました。

J子先生や私の指導の下、アルゴリズムによる分かりやすい世界が美しいから、梅子さんは、1〜100まで1個1個並べても、すぐに崩そうとせず、うっとりとして見入っていました。

発達障害者の梅子さんは、綺麗な花が咲き乱れる美しさには無頓着ですが、整数の並んだ世界こそが、美しいと感じているのがよく分かりました。

梅子さんが理解したものは、「見て!」と言わなくても積極的に見てくれました。

課題学習を取り組む中で褒めながら、時には、励まし、時には対決しながら指導することで、完全に師弟関係として梅子さんが私に信頼を寄せてくれるようになりました。

  • 規則性に沿った数字並べは、重度発達障害児にとって分かりやすい
  • 遊びは、暗黙のルールの上に成り立っているため、重度発達障害児には、非常に分かりづらい
  • 整然とした並びの数字並べは、重度発達障害児の目線で見ると美しいと感じる
  • 100並べを取り組む過程で次第に、指示に従う姿勢が身についてくる。

算数の課題についての必要性は、「【家庭療育】重度発達障害児に算数を教える必要性を解説」に詳細にかいています。
【家庭療育】100並べの教え方と心を育てる療育」や「【家庭療育】重度発達障害児に1〜100のタイル並べの教え方を解説」も併せてご参考にしてください。

【早期療育】数から言語へ

今まで梅子さんには、早期療育の中で算数を教えてきたということは分かりました。しかし、言葉の方はどうするのでしょうか?

🌸桜🌸

梅子さんは、算数で培った人から学ぶ力を使って、言語指導に取り組みました。

「数から言語へ」という見出しにしたのは、数の世界で信頼関係ができた状態で、言語に望むべきというのが私の持論です。
言語を課題学習で教える時、必ず、梅子さんに喋って貰わなければいけません。
しかし、喋って!と梅子さんにいっても、信頼関係がなく、子供が乗り気でなければ、ストップしてしまいます。
まずは数の世界を通して、信頼ある師弟関係を構築し、言語療法に望むのが好ましいのではと思うようになりました。

梅子さんが本格的に言語療法をしたのは小学校高学年からでした。
学ぶ姿勢は既に出来ていたので、「やりとり」の勉強から入りました。
例えば、言語療法を初めてすぐは…

私「今日のお昼ご飯、何食べた?」
梅子「は〜い!◯◯梅子で〜す!」

このやりとりしか成立しない状態でした。
梅子さんは、全て「は〜い!◯◯梅子で〜す!」だけで返していました。

この状態をJ子先生からアドバイスをいただきました。

相手の求めている内容が分かっていません。
梅子さんは、答えようとはしていても、答え方を知りません。
「は〜い!◯◯梅子で〜す!」でいいのだと思っています。
これでは、他者から彼女は軽く見られてしまいます。

このアドバイスをもとに、机上から教えて、日常生活の中に落とし込みました。
まずは「やりとり」から教えました。
この言語の内容は、長くなるので後日、改めて書いていきたいと思います。
ただ、言語に関して、教えることは大変でしたが、梅子さんは、算数以外の積み重ねもあったので、指導に乗ってきてくれていました。
「やりとり」を教える前に、文字の読み・書き、本読み、絵カードのフラッシュカードなどを既に学んでいました。
特に文字の読み・書き…が言語療法を教えるとき助けになりました。
言語のやりとりを開始して、1ヶ月ごとに少しずつ変化がみられました。

「やりとり」を教えるのは、小学校高学年からでも始められるものだというのが感想です。
既に人から学ぶことを知っているからこそ出来たことだと思います。

今でも、たくさんしゃべれる訳ではありませんが、少しのやりとりなら出来るようになったので、重度発達障害の言語についてものちにふれていきたいと考えています。

  • 算数でつちかった「人から学ぶ」力を使って言語を学んでいくことが出来る。
  • 人から学ぶ姿勢がなければ、おうむ返しも中々してくれない。
  • 文字の読み・書き、本読み、絵カードのフラッシュカードなどの力が必要。

では!🌸桜🌸

成人になった重度発達障害者の梅子さんと一緒に課題学習を通して、心を育てる療育を実践してきた。ヘレンケラーとサリバン先生のような指示の通る関係の構築に尽力してきた。療育は、新居浜にあるトモ二療育センターで9年間勉強。現在、梅子さんは、地元の通所施設で毎日働いている。

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