🌸桜🌸です。
今回、重度発達障害児に何故、時計を教えるのかについて解説していきたいと思います。
発達障害の子供にとってスケジュールは大切だと思うのですが、なぜ時計も必要なのでしょうか?
アナログ時計を読めることで時間の「感覚」を理解できるようになります。
スケジュールだけでは伝えられなかった「ちょっと待って」を具体的に「◯分待って」と伝えられます。
他にも時計を通して以下のような内容を伝えることが出来ます。
- 時間の長さを知る事ができる
- スケジュールと併用することでより具体的にスケジュールを知る事ができる
- 公共機関を利用することでいつ電車やバスが来るのかがわかる
- 「あと◯分」が分かるようになると、待てるようになり行動が整う
重度発達障害者は、目に見えないことに反応できません。
そのため、基準になるものが必要になります。
例えば、絵カードや文字カード、サインなどがあります。
媒体を使って互いに意思疎通を図る事ができれば、彼らも納得し落ち着きます。
しかし、時の流れというものは目に見えません。
目に見えない時の流れを補うのが「アナログ時計」という訳です。
でも、アナログ時計を重度発達障害の子供に教えるのって難しいですよね?
はい。
前提条件をいくつか超えれば必ず読めるようになり使いこなせます。
この前提条件を梅子さんと一緒に超えながら教えていったのでご紹介したいと思います。
時計について
時計には大まかに2種類あります。
・デジタル時計
重度発達障害の梅子さんに教えたのはアナログ時計の方でした。
デジタル時計は、アナログ時計を教えていく過程で覚えてくれました。
アナログ時計の役割について
なぜ、アナログ時計に力を注いだのですか?
デジタルは、今、この瞬間の時間しか分からないからです。
アナログ時計は針の間隔で「過去・現在・未来」の長さを予測できるようになっています。
かたやデジタル時計は、今、この瞬間だけの時間を示していて、計算しないと未来の予測がしづらい構造になっています。
重度発達障害者の梅子さんは、未来の長さ予測(見通し)が知りたいので適しているのがアナログ時計というわけです。
長針と短針、役割の違いについて
長針と短針の役割の違いとはどういうことでしょうか?
長身は目盛をさし、短針は範囲を現す…ということです。
・短針…範囲を現す役割
この違いを梅子さんは分からず、読み間違いを起こしていました。
2時〜2時45分まではアナログ時計で読めるようになっても、それ以降は「3時50分」とか「3時58分」とか、短針を読み間違っていました。
明らかに短針が3時に近づくにつれて、「3時」と読む(長針のように数字や目盛を指し示していると勘違い)のだろうと勘違いを起こしてました。
ここを私が見抜けず4年もの間、教え方に同じ過ちを繰り返してました。
梅子さんの分かりづらさはこういう勘違いの所にありました。
時計を教える前にすること
重度発達障害者に時計を教える前に3つの前提条件があります。
2) 5の段の掛け算ができること
3) 時計の勉強とは別に、文字を書ける練習を行うこと
この3つの条件は必要なのでしょうか?
はい。
障害児教育では、30までしか教えないという所もあります。
実際、時計は、最高で60まであります。
1〜100までの数字がかけて読めること
短針が指し示す最大の数は24までです。(1日24時間で教えるので)
このため、30くらいの数字しかわからない場合、30分以降を教えることが出来ません。
時計の課題をする前段階として1〜100の数字並べは教えてあげて下さい。
5の段の掛け算ができること
なぜ、5の段の掛け算が必要なのでしょうか?
5の段を覚えることで長針の数え方が楽に数えられるからです。
最初、長針を教え始めるとき、1目盛ずつではなく5分ごとに教えていきます。
(子供の負担を減らすため)
その時に掛け算の5の段が必要になってきます。
5×1〜5×12の九九を教えておきます。
時計とは別の課題学習で…
・1〜100並べで十進法の数唱を教えることも大切(全ての課題で必要な力)
・5、10、15、20…のような5とびの数唱を教えることも大切(時計の課題に必要な力)
・2、4、6…のような2とびの数唱を教えることも大切(お金を数えるときに必要な力)
時計の勉強とは別に、文字を書ける練習を行うこと
梅子さんの場合、発達検査の結果で必ず「視覚優位」と言われてきました。
私は、「視覚優位」という言葉を解釈違いしていました。
見たら分かる人だと勘違いしていました。
「視覚優位」と「聴覚優位」
目から入る刺激で、視覚刺激といいます。
もう一つは、耳から入る刺激で、聴覚刺激といいます。
目と耳それぞれの器官から、バランスよく刺激が入る(認識できる)と良いのですが、目からの情報(視覚情報)の方がよく入る状態を「視覚優位」といい、耳からの情報(聴覚情報)の方がよく入る状態を「聴覚優位」といいます。
この視覚優位を見て「理解できる力」だと私が勝手に解釈してしまいました。
しかし、視覚優位とは、見る力だけで見たものを理解する力ではありませんでした。
そのため、理解する力をつけるために、「文字を書く力」が必要になってきます。
時計を理解させるためには、時計の時刻を書く必要があります。
数字を書く力をあらかじめつけておくことをおすすめします。
何度も書いて手を動かすことで記憶の定着をはかりました。
重度発達障害者も同様に手を動かして書いていくことで覚えていくことが可能です。
練習あるのみですね♪☺️
時計の課題と一緒に身に付くスキル
時計の課題を教えることで他に役立つことってありますか?
梅子さんの場合ですが3つほどありました。
・「ちょっと待って」という曖昧な表現から具体的にどこまで待つのかが分かる
・公共交通機関でいつ電車やバスが来るのかが分かる
・スケジュールに組み込むことでより正確なスケジュールが完成する
・「◯分間待つ」という時間の長さを認識できる
上記のような利点がありますが、それ以外にも梅子さんには並行して学べた課題がありました。
(言葉のあるなしに関わらず必ず聞かせた)
・時計の課題では、ものさし、シャーペンを使うので上達した
・小さいポストイットに時刻を書き込むため、「小さい文字」を書く練習になった
以上のような3点が時計の課題を通して育ちました。
時計は、重度発達障害者にとってなくてはならない概念です。
時計の教え方については、以下の記事に書いています。
ご参考にしていただけたらと思います。
では!🌸桜🌸