🌸桜🌸です。
療育7では、タイルについて書いてきましたが、今回、早期療育の課題学習の中でも勉強ではないけれど、教えておくことが必要な課題について書いていきたいと思います。
発達障害って症状は、千差万別って言いますよね。
はい。症状は、千差万別です。でも、ある程度、共通しているところは1つあります。体の使い方が「不器用」です。
手先の不器用さもさることながら、体の使い方も非常に下手で、運動が苦手な方も多いかと思います。
体の動かし方や手先など多岐に渡り、教えなければいけないことはたくさんあります。
例えば、床にお米が散らばった時、指先で摘めなかった梅子さん。
折り紙を教えるとき、指先で折り紙を折ることが出来なかった梅子さん。
指のどこを使って折り目をつけるのかさえ理解できませんでした。
縄跳びもどう縄を回していいのか分からない梅子さん。
同じ場所で飛び続けることも出来なかった梅子さん。
他にも数え切れないくらい不器用さがありました。
発達障害なんだから、不器用は仕方ない…と思われている保護者の方も多いかと思いますが、練習する事でかなり改善されていきます。
早期療育の中で手先を磨いていく練習をすることは、非常に重要なのですが、親としては、それよりも算数や国語など勉強の方に目がいきがちです。
でも、成人している梅子さんを見て、幼少期から手先を磨く練習をしていて良かったと思います。
成人施設で働く梅子さんを手先が助けていると言っても過言ではないからです。
梅子さんの仕事は、グラスアートといってガラスの粒を1粒ずつピンセットで摘んで順番通りに置いていったり、ガラスを加工するのに金属の旋盤の上で角を飛ばしたりと不器用では、出来ない仕事ばかりです。
梅子さんは高校の時、今の施設とは別の施設に実習に行きましたが、県内で有名なお菓子会社の箱折りをしました。
梅子さんの折った箱は、朝に折って、そのまま机の上に置いておき、夕方まで箱の様子を見ていたそうです。
折り目がしっかりしているかどうかの確認だったのですが、夕方まで箱は折れた状態で保たれていたそうです。
このように障害者の通所施設で求められる力の1つに手先の器用さがあります。
是非とも、勉強以外にも手先を磨く練習をしてください。
- 発達障害の共通症状としては、体の動かし方や手先が不器用。
- 不器用は、練習すれば器用になっていく。
- 障害者施設で働く場合、絶対に教えて損はないスキル。
- 器用な障害者は、施設に居場所がある。
- 勉強と同時並行で手先を磨いていく。
【家庭療育】指先を動かす
手先を磨く…と言っても、具体的に何を教えればいいの?
梅子さんが療育を開始してすぐにJ子先生から教えてもらったのは、指を1本ずつ動かす練習でした。
親指を軸に最初は、人差し指と親指をつけ、次に中指と親指をつける、そして、薬指と親指をつける、最後に小指と親指をつける。
小指と親指をつけてから、戻るように薬指と親指、中指と親指、人差し指と親指とつけていきます。
これを右手、左手交互にやらせていました。
非常に私たちには簡単なことですが、梅子さんの指は、針金でも入っているのでは?と思うくらい動きませんでした。
指の曲げ方も知らなかった梅子さんです。( ; ; )
見本を見せても人差し指の腹と親指の腹を合わせるのかさえ理解できず、カチカチの指先を全介助して曲げさせ、ようやく出来る…という具合でした。😓
教えていて、正直、こんなことも出来ないのか…と絶望に近い気持ちになったことを今でも覚えています。
しかし、出来ないからと行って諦めるわけにもいかず、課題学習の中に組み込んで毎日、教えました。
あれだけガチガチの指が次第に滑らかに曲がるようになってきて、上手に動くようになってきました。
発達障害の子供は、出来ないのではなく、練習量が健常児と圧倒的に違うだけ…という事でした。
しかし、ここまで不器用なのかと思い知った課題でもあったので、是非とも取り組んで上げてください。
- 重度発達障害児は、指先の動かし方を知らない。
- 関節の動かし方に気づいていない。
- 子供の指先を1本ずつ持って、関節を曲げる…ということを教えていけば、出来るようになった。
- 体も指先も動かし方がわからないので、その都度、課題学習に取り入れて教えていく。
【家庭療育】雑巾絞り
手に関係して他に苦手なことはありましたか?
手に関係してだと、力を入れるというのが苦手でした。例えば、雑巾絞りですね。
梅子さんが苦手だった1つに雑巾絞りがありました。
手先というわけではないのですが、この雑巾絞りが異常に難しかったです。
握り方、絞り方など私が梅子さんの後ろから手を添えて形から教えました。
教えていくうちに形はできるのですが、絞る…というのが非常に難しかったです。
それは、何故か…
「力」なのです。
力の入れ具合って目には見えない…いわゆる可視化されていないんです。
今でもその力の具合で悪戦苦闘しているのが書道です。
筆の持ち方などがあまいので、筆に引っ張られて、横線が乱れたり、縦線がうまく引けなかったりと上手くいきません。
力の入れ具合を言語化することが出来ないので、指導にはあの手この手で挑んでいます。
雑巾絞るのが下手…で片付けるのではなく、なぜ下手なのかを考えて子供の立場に立つことが重要なのだと思いました。
梅子さんの場合、非力で悩んでいるのですが、他の発達障害児の場合、梅子さんと逆のことで悩んでいる保護者の方がたくさんいました。
力の加減が分からず、物を乱暴に扱ってしまい、壊してしまう…といことです。
コップ1つ机の上に置くとき、力の加減が分からず、力任せに置いてしまい、コップが割れたり、扉の開閉に力の加減が分からず、力一杯開閉してしまう場合があります。
力の加減が分からないというだけなのですが、いつもMAXの力なので、怒っていると周りから勘違いされるお子さんもいました。
コップを置くときは、「そっと置く」というのを言葉では教えられないので、コップを持っている手の小指を先に置いてからコップを置くという方法を教えていました。
扉の場合は、「そっと閉める」や「そっと開ける」が分からないので、扉の開閉だけに絞って、ゆっくり閉めたり開けたりする練習を毎日、回数を決めて教えることも必要かと思います。
些細なことではありますが、後に大きな誤解を生むので、ぜひ獲得させてあげてください。
- 発達障害児は、力の入れ具合が非常に苦手。
- 非力な場合は、子供の後ろから手を添えて、力の入れ具合を教えていく。
- 力任せな場合は、教えたいポイントを絞って、「そっと」ということを何度も練習して、動きを教える。
- 力任せな場合、怒っていると周りに勘違いされがち。
余談ですが、以前、J子先生に「立場が違えば、全てが違って見える」と教えていただいた事があります。
物事を教わる子供の立場と物事を教える指導者の立場…感じたり、見えたりする世界が全く違うという事ですね。
同じ場所、同じ空間にいながら、ここまで世界観が違うと分かり合えるということがいかに大変で重要なのかを感じます。
立場の問題は、発達障害児と親…という関係だけでなく、家族間、そして、地域、最後は、国にまで至る事なのだと思います。
自分の立場から見た世界以外に、相手の立場に立って見える世界を知ること…その客観的に考えられるマインドこそ、療育者に必要な力なのだと思います。
【家庭療育】折り紙
手先を磨くのに、指運動以外に何かありますか?
折り紙の「やっこさん」と「つる」を勧められました。
梅子さんは、J子先生の療育センターに入ってすぐ「やっこさん」の折り紙を折れるように指導して頂きました。
同じ折り方が連続で続くので、折りやすいです。
しかし、梅子さんは、折り方以前の問題がありました。
指のどの部分を使っていいのか分からない様子でした。
そして、「力を入れる」意味を理解できていませんでした。
撫でるだけ…という感じで、指先に力を入れて折るという事が出来ませんでした。
他にも、折り紙のすみとすみを合わせることが難しかったです。
梅子さんからすれば、どこを見ていいのか分からない様子でした。
折り方以前の問題がたくさんあったので、後ろから二人羽織の全介助で1日3枚ずつ折っていきました。
全介助の指導のおかげで、ようやく力を入れて指先で折っていくことを理解してくれました。
このように最初は、やっこさんを折っていったのですが、上達してきた時、J子先生から「ツル」を折るようにご指導いただいたので、1日5枚ずつ折っていきました。
折る…という行為は、上達していたのですが、ツルは、やっこさんと違って同じ折り方を繰り返しません。
今度は、折り方を学びました。
手先を磨きながら、折り方を少しずつ記憶ながら、時には考え…という繰り返しの毎日でした。
この「記憶する」ということと「考える」ということが、発達障害児には、必要ではないかと思うようになりました。
発達障害児が幼少期から学生時代まで、深く考えること、気付けることのチャンスに恵まれる機会は、なかなか得られません。
障害があっても勉強や経験を通して、考えるチャンスを与えること。
障害者の人生に深みが増すのだと思います。
成人した今では、千羽鶴の小さい折り紙を折れるまでになりました。
折り紙を折ることは、将来、施設の仕事で箱折りなどに役立ちます。
体の小さい幼少期にマスターさせておきたい課題の1つ。
それが「折り紙」です。
- 手先を磨く練習に折り紙の「やっこさん」と「つる」を折ること
- 指のどの部分を使って折ればいいのか分からないので、子供の後ろに回って手を添えて教える。
- 最初は全介助で教えるが、自分で折り始めると、半介助、そして、介助なしで綺麗に折らせていく。
- 折り紙のすみが見えないので、すみとすみを合わせる…という練習も積んだ。
- 1日に折る枚数を決めて、毎日、取り組んだ。
- 大きな折り紙から最終は、千羽鶴用の小さい折り紙が折れるようになるまで課題学習の中に取り入れた。
- 折り紙を通して、手先を磨きながら、考えることをさせていき、考えるというチャンスを与えた。
【家庭療育】ハサミ
療育の中でハサミを教えることが多いのですが、梅子さんは、ハサミって上手くつかえてましたか?
梅子さんは、ハサミの持ち方1つ知りませんでした。
そして、真っ直ぐ切ることも非常に難しかったです。
ハサミの使い方は、梅子さんは絶望的でした。
クレヨンさえ手に持てない子供なので、正直、諦めに近い気持ちでした。
でも、J子先生から「よく切れるキッチンバサミ」を使わせて牛乳パックを切り裂く課題を教えて頂きました。
詳しい切り方は、「梅子さんの小学校編8」に書いていますので、良かったらご参考にしてください。
大きなキッチンバサミを使うことで、意外に子供の手に馴染んで切りやすかったのと柔らかい紙ではなく、硬い紙にすることで、直線を切りやすかったのが相まって、ハサミの課題は、嫌がらずに取り組んでいました。
- 幼い子供でも、よく切れるキッチンバサミを使用すること。
- 持ち手が大きいほど、子供は握りやすい。
- 柔らかい紙で練習するのではなく、牛乳パックで直線ぎりを教える。
- 障害児教育で使用する道具は、安物ではなく、職人の人が使う良い道具を使って、子供の不器用さをカバーすること
【家庭療育】お箸とつまむ練習
梅子さんのお箸の練習は、最初から上手に持ててましたか?
梅子さんに本格的にお箸を練習させたのは、小学校に入ってからです。それまでは、梅子さんにお箸など持てるとも考えていませんでした。
お箸の使い方も正直、最初は、教えれる気がしませんでした。
しかし、J子先生の療育センターでは、まずお箸の練習があったので、家で取り組みました。
補助具(例えばエジソン箸)などは、慣れてしまうと、普通のお箸を嫌がり、補助具にこだわり次に進めなくなりそうな気がしたので、最初から、梅子さんには使わせませんでした。
1本のお箸(割り箸)を鉛筆を持つ手をさせながら、後でもう1本足すという感じで最初から普通のお箸を持たせた上で、小さく丸めた綿などを皿から皿に移していく練習を毎日しました。
その練習の成果が、料理の場面で現れてきて、今は、私より上手に菜箸を使って豆腐や煮魚などを使って盛りつけたりしてくれます。
お箸の課題について「梅子さんの小学校編 14」に書いてありますので、良かったらご参考にしてください。
最後に、梅子さんに洗米の練習をした時、少し床にばら撒いたお米を指先で摘んでもらおうとして、出来なかった…という経験がありました。
流石に出来ないと分かって驚きましたが、練習あるのみだと思い、課題に取り入れ、指先でつまむという練習をしました。
梅子さんもどうして上手くつまめないのかよく分からなかったようでした。
梅子さんが少しイライラしている場面もありましたが、次第にコツをつかんできて、小さい粒でも上手くつまめるようになってきました。
手先の練習は、毎日の継続により力をつけていくものであって、知識からついていくものでがありません。
時間が必要になってくる課題です。
継続は力なりで根気よく教えてあげてほしいと思います。
知識も必要ですが、生きていくためには、この「不器用」から脱出する事が何より子供の将来を助ける力となるので、ぜひ取り組んで上げてほしいと思います。
次回は、料理について書いていきたいと思います。
では!🌸桜🌸
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