🌸桜🌸です。
前回は、不器用について書きました。
今回は、料理について書いていきたいと思います。
重度発達障害児に料理をさせるメリットって何ですか?学校の家庭科で教えてくれるから家でわざわざする必要性が分かりません。
料理は、療育の集大成の課題です。そして、生きる力をつける課題です。
なぜ、料理をするのか?
結論から言いますと、全ての知識が「料理」という課題に集約されているからです。
「療育1」〜「療育8」までの力の集約が「料理」ということなのですね。笑
以上の8つの力を総動員すれば、自分一人でキッチンに立って、誰の指示もなく料理ができます。
例えば、料理を教える側は、分かりづらい子供とキッチンで向き合う時、「知識ある愛」から子供の今の状態が二次障害なのか、三次障害なのかを見抜く力が必要です。
次に子供側からすれば、キッチンに立つ時、立ち仕事になるから体力は必要です。
料理のレシピを読むために文字の理解が必要です。
料理のレシピの中に書いてあるアラビア数字の理解も必要です。
アラビア数字を読んで、量として測る力も必要です。
料理を実行させるためには、包丁・ピーラー・混ぜる・こねる・掴む・炒めるなどの器用さを求められます。
互いに料理を通して、1つのゴールに向かって作業することで子供と連帯感ができます。
連帯感のある料理は、子供にとっても、教える側にとっても、ご家族にとっても満足のいくものになります。
重度発達障害児に「おいしかった!」と直接、褒めることができる機会です。
褒められる喜び、努力を認めてもらえる喜びを子供が感じることができます。
そして、料理をすることで1番のメインになるのは、「指示の通る関係」です。
料理は、レシピ通りでないと作り上げることが出来ません。
しっかり、指示の通る関係を普段の療育から構築してください。
あと、学校で行われる家庭科もすごく良い思い出となりますが、正直、自分一人だけで作る力には発展しません。
そして、家族に褒められ、認められるまでに至りません。
そのために、家庭で料理をするということが重要になってきます。
梅子さんは、幼少期から台所に立ってもらっている時間がありました。
今でも洗米などは、休みの日は彼女の担当です。
「◯号炊いて」と言いながら、スマホアプリで号数を見せると、その通りにはかり、洗って、水も綺麗にはかって、炊飯器の予約を入れてくれます。
他にも学生時代、お好み焼き、カレー、餃子なども作ってもらいました。
もちろん、包丁も持つし、以前は、ガスでしたので火の扱いもさせていました。
その様子は、「梅子さんの小学校編 3」にも簡単に書いたので良かったら、ご参照ください。
- 料理は、課題学習の集大成。
- 家で料理をすることで、家族に褒められる機会を得る。
- 料理をすることで褒められ、自分に自信がついてくる。
- 学校の家庭科では、不十分
- 親と子の連帯感が生まれる。
- 指示が通らないと料理が出来上がらないので、指示の通る関係を構築していく。
- 料理は、生きる力に直結している。
【家庭療育】療育の算数と理科が生きてくる
もっと具体的に料理に必要な力を教えてください。
まずは、算数と理科の知識が必要です。
料理を作るにあたり、必要な知識のうち、算数が必要になってきます。
例えば、大さじ、小さじ、計量カップ、重さなどの概念が必要になってきます。
また、分数も必要ですよね。
例えば、大さじ1/2などの概念などは、分数が必要になってきます。
また、「ジャガイモ5個」となれば、数概念の力が必要になってきます。
そして、時間…例えば、15分煮込む…となれば、15分間という時の感覚も必要になってきます。
このように、料理は、算数の概念が必要だと分かります。
次に、理科の力も発揮されます。
ところで「沸騰」って分かりますか?
梅子さんは、鍋の中のお湯がグラグラと湧く様子を見て、最初、怖がりました。
梅子さんが鍋に水を入れ、火にかけたらその後、どうなるのか想像もしていなかったからでした。
グツグツ湧くお湯の状態を動画で撮影し、その動画を梅子さんに見せて、「沸騰」と言う言葉を教えました。
この水からお湯に変化する様は、「理科」です。
ジャガイモをゆがく時、あれほど硬かったジャガイモが15分後には、すごく柔らかくなっているのも「理科」です。
以前、J子先生が息子さんにゆで卵を作らせていく過程で、水から入れて、1分後、5分後、10分後、15分後…というように時間の経過によって、卵の変化を見せた…とおっしゃっていました。
他にも、生の肉をわざと日のあたる位置に置いて、時間の経過とともに腐敗していく様を教え、「腐る」とはどういうことなのかを教えた…とおっしゃっていました。
料理は算数と理科の力が必要になってくる課題の1つです。
「療育 5(数の世界)」と「療育 7(タイル)」の知識がここで必要になってくるので、是非とも算数は教えてください。
ただ、算数と理科ともに、子供が理解してから始めようとするのはナンセンスです。
いつ子供が課題の中身を獲得するか分からないからです。
課題学習をさせながら、同時並行で料理を教えてあげてください。
- 料理は算数と理科の知識を使う。
- 分数、量、数概念、時計などの知識を必要とする。
- 理科は、キッチンを実験として使って、物の変化を教えていく。
- 算数や理科、国語などを教えながら、同時並行で料理をさせていく。
【家庭療育】療育の読む力と見る力が生きてくる
料理をするのに、どうして国語の力が必要なのですか?
料理をするとき、レシピを読んで理解する力が必要です。
料理をするのに必要な力に国語があります。
レシピ通りに作らないと美味しいものにはならない…そのためにもレシピを読んで行動する…という事が重要になってきます。
余談なのですが、今は、料理の動画があるので、別にレシピなんて読めなくても大丈夫!と私は思っていました。
しかし、最近、梅子さんにその動画を見せて料理を作らせようとして、全く歯が立ちませんでした。
理由は、動画を見ても理解できなかったからです。
かなり、梅子さんは重度です。😓
何をしているのか分からず、動画を見るたび、私の方を不安そうに見つめて「分かりません。教えてください。」と一言、言うだけでした。
しかし、梅子さんは私が作ったイラスト入りレシピだと餃子やカレーが作れました。
同じレシピを何度も見て、料理を作るたびポイントをおさえていった…と言う感じでした。
梅子さんには、動画ではなく、イラスト入りのレシピが必要だと実感しました。
このような力は、「療育 6(文字)」の力が必要になってきます。
そして、レシピの中には、何度も動詞が出てきます。
例えば、「混ぜる」「入れる」「割る」「炒める」「洗う」などがあり、料理をするたび、言葉と動きが一致してきます。
料理は、生きた国語にも繋がります。
是非とも、国語を教えてあげてほしいと思います。
- 料理を作るとき、レシピを読んで作っていくため、文字が読める力が必要。
- 料理動画を理解できない人場合、レシピを読んで何度も作ることで理解できてくる。
- 料理の中には、動作を現す言葉がたくさんあり、動詞の理解につながる。
【家庭療育】料理の経験から火の恐ろしさを知る
重度の梅子さんに火の扱いを教えて大丈夫でしたか?
重度発達障害児だからこそ教えました。
火の怖さが分からないから、火の危険性を教えることで、火の恐ろしさを伝えました。
梅子さんの性格は、基本、怖がり…という性格のため、積極奇異型ではありません。
慎重タイプなので、何度か軽い火傷(天ぷらを揚げる時、かなり高い位置から食材を鍋に放り込んで、跳ね返ってきた油が手にかかった)をした経験からガスの強火を怖がるようになりました。
点火して、鍋肌より火が溢れると、慌てて、トロ火にしてしまう状態でした。
ただ、発達障害のお子さんによっては、「火遊び」を好むお子さんもいらっしゃると思うので、料理や花火などを通して、火の恐ろしさをしっかり伝えることが大切だと思います。
料理を通して、正しい火の使い方を知る事が大切だと思います。
今は、IHの普及もあり、直接、「火」と触れ合う機会が減ったとは思います。
火加減は、すごく楽になりました。
我が家の場合、IHは、数字で表されているので、梅子さんに火加減の指示をするのが非常に楽になりました。
機種によっては「強火」「中火」「弱火」という表示もあります。
ここでも数字や文字が読めることが重要になってきます。
是非とも「数字」や「文字」を教えてあげてください。
- 料理を通して、「火の恐ろしさ」と「火の適切な扱い方」を教えていける。
- 火を通して、「強火」「中火」「弱火」などの言葉も教えていける。
【家庭療育】発達障害児の不器用な手先を鍛える
料理をさせるに当たり、包丁を使わせるのが怖いです。
手先を鍛えないといつまでも不器用のままです。
最初は、全介助で子供の後ろに回って一緒に食材を切ってあげてください。
右手に包丁、左手は「猫の手」と言いながら、猫のように指先を丸めて、食材を押さえることを教えてください。
発達障害のお子さんに包丁を持たせて食材を切ったり、りんごの皮をむかせたり、ピーラーを使わせたり、ゆで卵の殻をむかせたり、卵を割らせたり、野菜を綺麗に洗わせたりと不器用な手をどんどん使わせる機会に恵まれるのも料理です。
普段、課題学習以外で手先を使わせる機会が少ないので、手先を鍛えるためにもどんどん料理をさせてあげてください。
また、「療育 8(不器用)」を取り組むことで手先の動きが磨かれてくるので、是非とも不器用を脱却するためにも手先を磨く課題に取り組んでくださいね。
療育センターのJ子先生から以下の書籍を紹介されました。
子供は、1歳からでも台所に立って、料理できます。
よかったらご参考にしてください。
- 料理は、手先を鍛えるのにちょうど良い課題。
- 包丁の使い方を幼い時から教える。
- 包丁を持つときの左手は「猫の手」と言って教えていく。
【家庭療育】発達障害児が他者に喜ばれることをする
料理をすることで、自尊心って高まるのは本当ですか?
はい。
料理を家族に振る舞うことで、「美味しい」と言って、喜ばれたり、「また、作って」と言われ、期待されたりする経験ができます。
親のかわりに料理をするので、「助かった!」と喜ばれたりもします。
他者から褒められ、期待されることで、自分に自信がついてきて、自尊心が高まります。
発達障害のお子さんで日常生活の中で家族から「助かった!ありがとう!」と言われる機会ってほとんどないと思います。
しかし、料理に取り組むことで、「おいしかった!」や「作ってくれて助かった!」などの声をかけやすくなります。
また、他者のために料理を振る舞うことは、他者の気持ちが分かりづらいお子さんにとって、相手を意識できます。
自分の作った料理を家族が美味しそうに食べる様子を見るのが梅子さんは好きだったようで、自分はすぐに食べずに、しばらく家族の様子を黙って見ていました。
このように相手に意識が及ぶこと、そして、何より感謝されることが発達障害のお子さんには必要な経験だと思いますので、是非とも料理に取り組んでください。
- 料理をすることで、家族から褒められる。
- 料理をすることで、「美味しい」や「また作って!」と言われ、期待や希望を障害児に与えることができる。
- 料理をすることで、自分に自信がつき、自尊心が高くなっていく。
【家庭療育】療育のお金の知識と小さい文字を書ける力が生かされる
料理の中で国語が必要とおっしゃっていましたが、書く力やお金の知識って必要なのですか?
はい、必要です。
料理は、キッチンにたつだけが料理ではありません。
料理は、買い物からすでに始まっています。
スーパーに買い物する食材をメモ書きして買ったり、レジでお金を支払わなければいけません。
食材購入することも料理の一環なので、書く力と金銭の知識は、必要です。
料理をするにあたり、スーパーで食材を購入しなければいけません。
料理を開始するのに、キッチンからスタートではなく、買い物からスタートです。
お金の課題は、非常に重要になってきます。
とはいえ、すぐにお金の知識が身に付くとは限りません。
まずは、1000円札1枚からで良いので、料理の食材を購入し、持ち帰って料理する…と言う一貫した流れを作ってくださいね。
何度も料理をするうちにスーパーで必要な物がどこにあるのかも見えてくるかと思います。
スーパーの食材もカテゴリーに分かれているので、カテゴリーを覚える必要も出てきます。
野菜コーナー、お肉コーナー、お魚コーナー、調味料コーナーなどが見えてくると、買い物しやす区なります。
何よりメモ書きで必要な食材を自ら書く…と言うこともさせてあげてください。
自分の文字で書いたものは、人が書いた文字よりもよく見ます。
そして、メモに書くためには、「小さい文字」を書く練習も必要になってきます。
梅子さんもキツイ書字困難でしたが、学生時代、小さい文字を書く練習して、その力をメモ書きに生かせるまでになりました。
ここでも「療育 6(文字)」の力が必要になってくるので、書字困難だから…と諦めず、書くことに熟練させてほしいと思います。
- 買い物に必要な食材をメモ用紙に書いていく。
- 小さい文字を書けることで、メモ書きができるようになる。
- メモ書きを通して、スーパーの各コーナーに何が置いてあるのかが分かるようになる。
- 必要な食材を全てカゴに入れたら、お金の支払いをする。
- 最初は、1000円札1枚から買い物をしよう。
【家庭療育】療育の山登り・歩き・マラソンから、やり遂げることができる
料理に体力って関係してくるのですか?
はい。
料理は、「立ち仕事」です。
それ同じ場所に立ち続けるのは、体力のない場合、苦痛です。
自分の体重を支え続けなければいけないからです。
まずは、足を鍛えましょう。
料理で体力???ん???と思われた方もおいでるかと思いますが、実際、料理は、立ち仕事なので、ある程度の体力が必要になってきます。
あまり体力のないお子さんだと途中で料理を作るのをやめてしまう可能性もあります。
自分の体重を2本の足で1時間以上、支え続けなければいけません。
慣れていないお子さんだと、逃げてしまうか、座り込んでしまったり、嫌がったりする場合もあります。
「療育 4(山登り、歩く、マラソン)」がここで生きてきます。
料理を最後の盛り付けまでさせ切るためにも体力は十分、つけてあげてください。
- 料理を最後まで作り続けるためには、体力が必要。
- 下半身をしっかり鍛えることで、料理をやり遂げることができる。
- 山登り・歩き・マラソンが効果的
- 早期療育中に鍛えた体は、持久力がついて大人になっても役立つ。
【家庭療育】発達障害児の生きる力が身に付く
料理を通して、療育してきた課題学習が全て生かされるというわけですね。
はい。
おっしゃる通りです。
料理は、療育の集大成です。
料理は、生きる力です。
どうかお子さんに療育をしながら、生きる力をつけてあげてください。
結論、料理を取り組むことで今までの療育シリーズの内容が全て生かされることになります。
そもそも、課題学習って何のためにするのでしょうか?
良い成績を取るため?
健常児に少しでも近づけるため?
教えた事ができたらいいから取り組んでいる方もおいでるかと思います。
でも、勉強ってあくまでも手段であって、ゴールではないと考えています。
最終、料理は「生きる力」です。
料理をして、食べなければ、人は必ず死んでしまいます。
生きるため(料理)の行為を分かりづらい発達障害のお子さんに教え、美味しい料理を作るために並行して課題学習が必要です。
生きる力が最後は、自分以外の他者のためにまで発展できる料理って、本当にすごい課題であり、最終目標だと思っています。
梅子さんが最初に取り組んだ料理は、カレーでした。
カレーの作り方を知っていたら、学校の行事などの参加でみんなと作る時、参加しやすい事でした。
もちろん、カレーと並行に洗米も教えました。
いつかは、親の下を離れて暮らすようになる発達障害者。
親元を離れる時が来るまで、最低、自分でできることは自分または、みんなと協力できるまでの力をつけたいと考えています。
家庭は、全ての療育に通じています。
家庭の事が少しでもできるように今後も梅子さんに教えていこうと思っています。
療育を通して「生きる力」をつけてあげてください。
- 料理は、療育で教えた課題学習の集大成。
- 料理は、生きるための力が全て揃っている。
- 料理を通して、体力・精神力ともに向上させることができる。
- 料理は、他者のために喜んで働ける人へと成長させることができる。
では!🌸桜🌸
コメント