梅子さんの小学校編 8(分度器・物差し・本読み・牛乳パック)

梅子さんの小学校編

🌸桜🌸です。

今回は、梅子さんが低学年から中学年あたりに取り組んだ課題を紹介したいと思います。

まずは、分度器ですが、梅子さんの小学校編 7で物差しの課題を紹介しましたが、この延長線上で分度器の使い方も練習しました。

分度器は、線を引くという課題とは違って、目盛りを読むという事が中心です。

物差しの目盛りを読むことも難しい梅子さんですので、分度器を使って角度を読むなど無理では?と思っていました。

しかし、この頃には、梅子さんは、時計の長針を読む事が出来るようになっていたので、「目盛りを読む」ということは、理解していました。

その力を土台にして、私の書いた角度に分度器の線を合わせて角度を測る練習に取り組みました。

梅子さんに分度器を教えた事で、目盛りを読む(長針を読む力)と共に、角度を測る事で、角度の中の範囲という部分に着目する(短針の現す時間の範囲)力になっていたのではないかという事です。

重度自閉症の会話さえまともに出来ない子供に分度器なんて…と正直思うところもありましたが、この分度器の力は、時計を学ぶ上で絶対に必要な力だと改めて知る事ができました。

次に、物差しの目盛りを読む練習ですが、梅子さんの小学校編 7で使ったプラスチック製30センチ物差しではなく、工業用の金属の物差しを使って測る練習をしました。

この力は、目盛りを読むという力を分度器以上に高めてくれた上に、今後、必要となってくる箱作りなどにも活用できました。

障害者施設でも測りを使うことはよくあります。

しかし、物差しを使うことはなかなかなく、大雑把になってしまいがちです。

やはり良い仕事ができるようにしてやりたいので、物差しを使う練習は、必要だと思い、梅子さんとあらゆる物を測る練習に取り組みました。

そして、次は本読みに取り組みました。

梅子さんの人生で1番最初に取り組んだ本は、小学校でも使用される「スーホの白い馬」でした。

言葉も喋れず、平仮名も一文字ずつしか目で追えないような梅子さんに長編のスーホの白い馬は、無理では?と思っていました。

しかし、教えなければ、いつまでも本を初め、街にあふれている看板さえまともに読めないし、バスの訓練も中学生からしたかったので、どうしてもバスの電光掲示板やバス停の地名を覚えて欲しい思いもあったのでチャレンジしました。

最後は、牛乳パック切りです。

あの硬い牛乳パックを切る練習を低学年でしました。

幼い子供なら、正直、折り紙とか工作用紙のような少し厚さのある紙からハサミの練習を始めるべきでは?と私は思っていました。

でも、その考えは、逆で牛乳パックからスタートするのは正解だったと知りました。

発達障害児は、そもそもが不器用ですので、中途半端な厚みのある紙だと逆にハサミが入りにくく、切りにくい上に真っ直ぐ切れず、ガタガタになりがちです。

それを防ぐために牛乳パックを切るという作業は、梅子さんには、非常に教えやすかったです。

そして、直線を切るということ以外に、切り裂いた後、箱の展開図そのものが見えて、箱の成り立ちを教えるのに最適でした。

もし、ハサミの課題をチャレンジしてみたい方がいらっしゃるなら、ぜひ牛乳パックから切ることをお勧めします。

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分度器

梅子さんは、私が予め作っておいた分度器プリントの赤線の所に分度器の線を合わせ、測るように教えました。

しかし、いきなり目盛りを読むのは難しいので、まずは、分度器を測る前に、分度器の目盛りを読む練習から開始し、その後、赤線に分度器の線を合わせ、そして、黒線を読むという3段回にわけて教えていきました。

分度器を読む作業は1つの作業のように思いますが、梅子さんには、3つの工程にわけて教えてやる事で、分度器が読めるようになりました。

物差しの目盛りを読む練習

梅子さんは、1センチ単位で教えるのは、難しかったので、ミリ単位で物差しを教えていく事にしました。

なぜ、梅子さんには難しかったのかというと、1センチの中には、10ミリという目盛りが入っているという事が理解するのに時間がかかりそうだったのが1つありました。

2つ目は、例えば、「1.5センチ」となれば、小数点の概念も必要であり、正直、正確に測るとなれば、難しいということもありました。

それか解消するためには、最初からミリ単位で教える方が確実だという事でした。

ミリなら10進法で教えていけるという事です。

そして、その用件を満たす物差しが、上記の画像の工業用モノサシでした。

物差しに重量もあり、簡単にずれることもありませんでした。

そして、何よりも0を合わせる事が工業用モノサシにはありませんでした。

起点が1番角から始まるので、分かりづらい子供にも簡単に起点から物差しを置き、測る事ができました。

梅子さんには予め、私が作った物差しで測るためのプリントを用意して測らせました。

梅子さんは、上記のような線を測っていきましたが、起点がどこからかを教えたら、すぐに理解してくれて測る事ができるようになりました。

J子先生がよく教えてくださった「道具は一流のものを」という意味がよく分かった課題の1つでした。

本読み

梅子さんは、本の内容を全部見せると、どこから読んでいいのか分からないという事、そして、1文字ずつ目で追って読んでしまう事、全体に文字が見えすぎて、読めなくなることを考慮し、トレーシングペーパーを利用し、読んで欲しい所以外、薄く隠しました。

全く隠してしまうといつまで読むのか分からないので、薄く見えるか見えないかで隠してやり、不安を取り除きながら、文節ごとだけ見せて、私の発音と一緒についてオウム返しで読ませるようにして、次第に、文節ごと、さくっと読めるようになりました。

成人の今でも、本読み以外でも、みて欲しい部分だけなら、トレーシングペーパーを使うことはよくあります。

トレーシングペーパーは、非常にお勧めです。

牛乳パック切り(ハサミの使い方)

最初に牛乳パックを切る前に用意するハサミは、100均のハサミではなく、キッチンバサミの良い製品を選びました。

発達障害児は、非常に不器用なので、良いハサミでないと使いこなせない場合があり、切れにくいハサミ➕不器用だと全く上達しないので、梅子さんには良いハサミを買いました。

それから、私が牛乳パックに予め、油性の赤ペンで赤線を引いて、切り裂いていく箇所を示し、梅子さんに後ろから介助しながら一緒に切っていきました。

梅子さんは、赤線が切る箇所なんだと理解したら、自分でゆっくりとキッチンハサミを動かしながら、切っていきました。

1.牛乳パックに赤色のマジックで線を入れてやる。

2.縦方向にも赤色の線を入れてやる。

3.赤色の線の通りハサミを入れていく。

自分で綺麗に切れるようになってきたなと思った頃に介助を緩めて、梅子さん自身で切って行ってもらいました。

このように課題学習は、勉強だけでなく手先の不器用さを解消すべく教えていきました。

療育を進めていけば行くほど、奥の深さがあり、一生梅子さんと勉強だなあと思うことばかりです。

では!🌸桜🌸

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