🌸桜🌸です。
今回は、「発達障害の算数教材・100並べ」の教材について梅子さんと取り組んだ時の教え方を解説したいと思います。
以前、100並べについて、教えることの必要性を「【家庭療育 5】数の世界」で書きましたので、ご参考にしてください。
基本的に私が梅子さんに教えた教材は、ほとんど安価な材料で作られています。
もちろん、作るまでに手間はかかりますが、高い教材ではないので、始めやすいと思います。
【家庭療育】100並べの教え方
「発達障害の算数教材・100並べ」で用意した教材を使って100までピースを置いていきます。
100並べ基本編
課題学習を始めるときは、子供ときちんと向き合って挨拶をしてから着席させる。
100並べに限らず、まずは、どの課題学習にでも言えることなのですが、親子で起立したまま、頭をさげて挨拶します。
子供「お願いします。」と言いながら一緒に頭を下げる。
このように言葉が言えても言えなくても、挨拶をしてから課題学習に取り組むようにしています。
挨拶がきちんとできなければ、何度も練習させます。
挨拶がきちんとできたら、着席させます。
あらかじめ、勉強の予定を紙に書いておき、課題が終わるごとに消していきます。
読める、読めないという事にこだわらず、子供には、提示して課題が終わるごとに子供の手で線を引かせて終わっていく過程を伝えてあげてください。
子供の前に数字盤を置き、3枚ずつピースを提示する。
鉛筆で薄く書かれた数字の盤を子供の前に置いて、子供の右側に3枚ほど数字の書かれたピースを提示します。
お子さんによっては、提示枚数を加減してくださって大丈夫です。
提示場所は、最初、右側にしていましたが、お子さんが教材に慣れてくると、提示場所を左側や上の方にバラバラで置いて、色々な場所を確認させる…と言うこともしていました。
数字盤に前もって鉛筆で書いてある数字とピースの数字をマッチングさせながら、数字を読ませて数字盤の上に置いていく。
子供に置いてほしい枠を指し棒などで示し、提示しているピースの中から数字盤に書かれた数字とピースの数字をマッチングさせる形で置いていかせます。
ピースを置かせながら、「いち」と音声を聞かせ、子供にも言うように促します。
このとき、J子先生から「必要な事を言わせていない。」とアドバイスをうけ、言葉のあるなしにかかわらず、数字の呼び名を梅子さんにも言わせるようにしました。
100並べをしながら数字も読めるようになっていきました。
普段、子供を褒めることがないので、学習中、子供が考えて判断した時などは、褒めてあげて欲しいと思います。
・並べている最中、間違えたピースを子供が選択し、数字盤の上に置いた場合、黙って取り除き、もう一度、考えさせるようにすることが大切です。
「ダメ!」とか「違う」という声かけは、子供の課題学習を嫌う原因になるので、教える側も沈黙が必要になりました。
・お子さんによっては、自分の目のついた数字から適当に置こうとします。
しかし、数字の順番が大切になってくるので、必ず、1から順番に置かせてください。
100までピースを置き終わると、子供に「出来ました。」と報告させる。
100までピースを置いた後に…
子供に「出来ました」と言わせていきました。
文字が全く読めない段階から、教えていったことで、「出来ました」や「分かりません。教えてください。」は文字を見ただけで言えるようになりました。
子供に報告させることは、課題学習で育つ力なので、ぜひ獲得させてあげてください。
施設で働くようになると、報告はすごく役立ちました。
親の差し出した手のひらの上に1から順番にピースを置いて、片付けていく。
100までピースを起き終わると、次は、置いていったピースを1から順番に片付けさせます。
親が「1」と言いながら、子供に音声を聞かせます。
子供が数字盤から取ったピースを親の手のひらの上に確実に置くようにしていきます。
手のひらの上に置いていく経験をしたことがないので、100並べで教えてあげてください。
片付けながら、数字名称の音声を聞きながら、「1の形は、いち…と呼ぶんだ。」と思って覚えていきます。
必ず音声を聞かせてあげてください。
100まで片付けると「出来ました。」と報告させる。
数字盤の上のピースを100まで片付け終わると、子供に「出来ました」と報告をさせます。
その練習を続けると「出来ました」と書かれた紙がなくても言えるようになってきます。
言葉のないお子さんでもその音声に近い言葉を発してきますので、必ず言わせてください。
その日の課題学習が全て終わると、子供を起立させて、「ありがとうございました。」と挨拶させる。
課題学習が終わると、子供に「起立」と号令をかけて、椅子から立たせて、対面で挨拶させます。
子供は、親が頭を下げるのを見ながら一緒に頭を下げて「ありがとうございました。」と言わせます。
以上が梅子さんと課題学習をした一連の流れです。
特に勉強を教え始めた頃は、始まりと終わりの挨拶、「出来ました。」は、力を入れました。
100並べ応用編
2桁目の「十の位」を意識させる方法 その1
100並べが慣れてきた頃、数字盤の上に書かれた鉛筆書きの数字を消しました。
数字の書かれていない盤上でも梅子さんは100まで置いていくことが出来ました。
しかし、梅子さんは、十の位にあまり着目していないことにJ子先生が気づきました。
1〜10は梅子さんの判断で置くので、11以降も一の位だけ見て、自らの判断で置いていきました。
画像のように一の位を見えるか見えないかで隠して、3枚提示してやると、J子先生のおっしゃる通り、11の場所に21を取っておこうとしました。
2桁目の「十の位」を意識させる方法 その2
こうすることで、十の位に着目させることができるようになりました。
縦と横の方向で100まで置くことで梅子さんは知らずに「マトリックス」の概念がついていきました。
「マトリックス」の概念は、後に月間カレンダーで生きてきました。
ところどころ、ピースを隠して、こだわらせずにそのまま、飛ばして置いていく。
100並べに慣れてきた頃、子供は、100まで綺麗に置きたくてたまらなくなります。
しかし、J子先生からアドバイスを受けました。
子供は、数字を並べられず止まってしまい、乱れます。
しかし、ないものはない!と言う事を教えて、次のピースを置かせていきます。
そうやって1枚抜けた状態で100まで置かせます。
最後、代用でまったく違う紙に数字を即席で書いて置き、紛失したから仕方ない…と言う諦めを教えていきます。
片付けるときの遊び心
これは、セッションの時のお話です。
梅子さんが100並べをしてから、片付けるとき、いつもなら梅子さんの目の前に助手のT先生の手のひらの上にピースを置いていくのですが、T先生がいきなり、あらぬ方向に手のひらを差し出して、梅子さんにピースを置くよう指示しました。
梅子さんは、最初、びっくりした顔をしていましたが、何度もT先生が繰り返すうちに面白くなったようで、笑顔でT先生の手のひらの上に置いていこうと体を伸ばしたりして片付けていきました。
勉強中に笑顔になる重度発達障害の子供を見たことがなかったので、正直、驚きました。
いつも飄々とした表情の梅子さんでしたので、内面は、普通の子供と同じだと知りました。
このように遊び心を持って課題学習に取り組むことで子供の心も掴めるのだと思います。
時には、対決しながら、時には、楽しみながら…それが心を育てる療育なのだと思います。
以上が1〜100並べの教え方でしたが、他にもタイルや数字について考え方や教え方を解説しています。
ご参考にしてください。
・【家庭療育】重度発達障害児に1〜10のタイル並べの教え方を解説
・【家庭療育】重度発達障害児に1〜30のタイル並べの教え方を解説
・【家庭療育】重度発達障害児に1〜100のタイル並べの教え方を解説
・【家庭療育】重度発達障害児に教える1〜10000のタイルについて解説
では!🌸桜🌸