🌸桜🌸です。
今回は、「【家庭療育】足し算タイル盤の作り方について解説」で作った教材を使って具体的な教え方を紹介します。
正直、重度発達障害の子供に足し算を教えてどうなるの?と思われた方は、「【家庭療育】重度発達障害児につけるべき7つの算数課題について解説」や「【家庭療育】重度発達障害児に算数を教える必要性を解説」をご参考にしてください。
足し算九九について
重度発達障害の子供に足し算を教える前に何かやっておくことはありますか?
まずは、子供に足し算盤に貼り付けたタイルと同じ足し算タイルを作ってもらいます。
必ず違う方向を見るか、天井を見ています。(天井に答えは、ないのですが…笑)
理由は、その盤が何を現しているのか分からないからです。
見てもらいたいものを見せるときのコツは、その盤そのものを子供自身の手で作らせます。
何度も全介助されながら作りあげていく盤を次第に目で追うようになります。
見て欲しいものを少しずつ見てくれるようになります。
梅子さんも私の「見て」という言葉掛けには、反応しませんでした。
天井を見ているか、大泣きして暴れていたかのどちらかでした。
全介助でタイル盤のタイルを毎日、作り上げることで次第に目で追うようになりました。
そんなある日、パッと私の顔をもあげて顔を赤くして、わかった!と言わんばかりの表情を見せました。
自分が一体何をしているのかに気づいた瞬間でした。
それから足し算プリントをするときも足し算盤を見ながらできるようになりました。
足し算盤のタイルと同じタイルを作り上げていく最中は静かに教えるのですか?
いえ。タイルを作り上げながら、足し算九九を子供に聞かせていきます。
足し算九九って何ですか?
掛け算の九九のようにリズム良く唱えていく足し算の九九です。
「+」を「と」と発音させることでリズムが生まれます。
掛け算九九のように、タイルと一緒に音声で教えました。
発達障害の梅子さんは、CMの音声を覚えることもできたので、唱える力はあると思って教えました。
九九を唱えながら、タイル盤に貼られたタイルを子供の手を添えて作っていくのが足し算九九です。
梅子さんに絵カードで何かを伝えるとき、いきなり絵カードを見せて伝えるのではなく、たし算盤のように見本を見せながら一緒に切り貼りして、作り上げてから伝えています。
そうすることで絵カードをよく見てくれることに気づきました。
いきなり見せつけられる絵カードと、自分の手で作り上げた絵カードは、理解度が違うように思います。
たし算九九の読み方は、基本、リズムよく読みます。
もしかしたらある法則に気づいた方もいらっしゃるかと思います。
「1と0は1」の「1と0」の部分って「2語分」なんですね。
重度発達障害の子供で「うちの子、なかなか、2語分がでないんです。」とおっしゃる保護者の方がいますが、たし算九九を教え、暗記させるだけで2語分の基礎を作っています。
また、九九の音声を何度も聴かせながら、何度も言わせることもします。
言わせること…それは、発音の練習にも繋がります。
喋りなさい!と言っても難しい発達障害の子供でも、タイル盤を見ながら九九を唱えることで発声練習にもなるのでおすすめします。
足し算タイルの教え方
1.工作方眼紙のタイルを分類する
(1)分類箱Aに数字カードを子供に入れさせていきます。
(2)工作方眼紙タイルを順番に分類させます。
2.黄緑色のタイルを分類する
(1)分類箱Bに数字カードを入れていきます。
(2)黄緑色のタイルを順番に分類させます。
3.タイル盤に貼られたタイルを1つずつさして、工作方眼紙タイルと黄緑色のタイルを貼り合わせ分類させる
(1)分類箱Cに数字カードを入れていきます。
(1-2)タイル盤のタイルを指して「1と0は1」と言いながら、分類箱Aのタイルの中から1タイルを取り出し、分類箱Cの中に入れていきます。
(2)次にタイル盤のタイルを指して「1と1は2」と言いながら、分類箱Aのタイルの中から工作方眼紙1タイルを取り出します。
(2-2)分類箱Bから黄緑色の1タイルを取り出します。
(2-3)工作方眼紙1タイルと黄緑色の1タイルを貼ってはがせるテープで貼り合わせます。
(2-4)貼ってはがせるテープで作った2タイルを分類箱Cの2の場所に入れます。
(3)次にタイル盤のタイルを指して「2と1は3」と言いながら、分類箱Aのタイルの中から工作方眼紙2タイルを取り出します。
(3-2)分類箱Bから黄緑色の1タイルを取り出します。
(3-3)工作方眼紙2タイルと黄緑色の1タイルを貼ってはがせるテープで貼り合わせます。
(3-4)貼ってはがせるテープで作った3タイルを分類箱Cの3の場所に入れます。
(4)次にタイル盤のタイルを指して「3と1は4」と言いながら、分類箱Aのタイルの中から工作方眼紙3タイルを取り出します。
(4-2)分類箱Bから黄緑色の1タイルを取り出します。
(4-3)工作方眼紙3タイルと黄緑色の1タイルを貼ってはがせるテープで貼り合わせます。
(4-4)貼ってはがせるテープで作った4タイルを分類箱Cの4の場所に入れます。
子供は最初、分からないから抵抗する場合もありますが、全介助で手を添えて教えていくことで次第にタイル盤やタイルを見えるようになります。
教えるたびに大泣きで「私にはできない!!!怒」アピールをしていました。
しかし、次第にタイル盤の模倣だと気づき出した時から、私の手の介助なしに一人で作り上げるようになりました。
4.全てのタイルを貼り合わせたら、プリントの足し算を計算させる。
(1)用意していたプリントを足し算九九のタイル盤を使って計算させていきます。
(1-2)「1と0は…」と言いながらプリントに貼られているポストイットの式をはがして、タイル盤に貼り付けます。
(1-3)「1」と答えを言いながら盤に貼られた数字カードを指さしてやります。
(1-4)プリントの書かれた「1+0= 」の式に「1」と子供の手を介助して書かせていきます。
※自分で書ける子供は◯の中に書くようにさせてあげてください。
(2)次に「1と1は…」と言いながらプリントに貼られているポストイットの式をはがして、タイル盤に貼り付けます。
(2-2)「2」と答えを言いながら盤に貼られた数字カードを指さしてやります。
(2-3)プリントの書かれた「1+1= 」の式に「2」と子供の手を介助して書かせていきます。
(3)次に「2と1は…」と言いながらプリントに貼られているポストイットの式をはがして、タイル盤に貼り付けます。
(3-2)「3」と答えを言いながら盤に貼られた数字カードを指さしてやります。
(3-3)プリントの書かれた「2+1= 」の式に「3」と子供の手を介助して書かせていきます。
あらかじめ答えを書いた別のプリントを用紙し、答えと一緒に子供の前で採点していきます。
その時、子供は知らん顔をする子がいたりもしますが、チラチラと瞬時に見ているので安心してください。
自分のしたことが気にならない子供はいないので。
赤ペンで丸をつけて採点し「100」をつけてあげてください。
そのときは、努力したことをたくさん褒めてあげてください。
最初は、褒められることに慣れていないので、無反応ですが、何度も繰り返し勉強するたびに褒められると次第に心に変化が現れてきます。
日常生活では、褒める機会がないので唯一課題学習で褒められる時間を設けてあげてください。
課題学習が進むと、必ず子供が陥るのが「100点病」です。
100点でないと大泣きして大暴れする場合が多々あります。
そんな時こそ、「うまくいかない時もある」ということを子供に伝えてください。
そして、間違えたことが大切であり、やり直しをすることで前より理解できるようになっていくことを教えてあげてください。
理性を育てる第一歩です。
5.足し算盤の応用編
1)印刷のタイル盤
どこにでも持ち運びできて、便利です。
突然の式の質問をして子供がさっと答えられるようにできたら、確実に覚えていきます。
喋れない子供でも足し算で「1と1は?」と親が聞けば、子供が「2」と答えるだけでも共通の話題でやりとりができます。
子供が答えられない場合は、印刷のタイル盤を見せたら、何を質問されているのかにも気づきやすいです。
ぜひ、印刷したタイル盤も作成してあげて欲しいと思います。
2)式の順番を変える
子供は、最初、式が順不同になったことに気づいていないので、いつものように答えを書いていくと思います。
ポストイットの式をタイル盤に書かれた式とマッチングさせながら答えが違うことに気づかせていくと次第にポストイットの式を見るようになります。
梅子さんも最初、順不同の式を上から順番通りの式の答えを書いていました。
ポストイットで順番通りでないことに気づかせていく過程でポストイットに書いてある小さい数字を見えるようになりました。
例えば、梅子さんは1ヶ月の予定をポストイットに書いてカレンダーに貼り付け、予定を書いています。
そして、カレンダーの下に「今日」という項目を用意し毎日、ポストイットを「今日」の項目に貼り直しています。
自分の手でポストイットを移動させることで、必要なことがどこを示しているのかが分かりやすくなりました。
このようにポストイットを貼り付けることで「今日」という理解が進みました。
3)0の足し算
0に足すという反応を加えると、どうなるのかが全く想像できなかったのです。
0の足し算をするたびに、計算が止まってしまいました。
そのため、療育センターで教えてもらったたし算九九を梅子さんバージョンに改造したのが上記のたし算九九です。
「0+0=0(0と0は0)」
「2+0=2(2と0は2)」
「3+0=3(3と0は3)」
「4+0=4(4と0は4)」
「5+0=5(5と0は5)」
「6+0=6(6と0は6)」
「7+0=7(7と0は7)」
「8+0=8(8と0は8)」
「9+0=9(9と0は9)」
を追加しました。
上記の「0」の足し算を覚えなおしたことで梅子さんは、0の足し算ができるようになりました。
以上が重度発達障害の子供が獲得していった足し算の方法です。
足し算1つ覚えるのでも、二語文につながるヒントやスケジュールにつながることがらがありました。
1つ1つを子供が獲得するのに非常に時間がかかりますが、1つの勉強にたくさんの要素が含まれると子供も新しいことでも負担を感じることなく学べると思います。
では!🌸桜🌸