🌸桜🌸です。
前回、長針の教え方について解説しました。
今回は、短針の教え方について解説します。
時計を教えるとき、子供が必ず50分あたりから短針を読み間違います。
分かります。
梅子さんもまさしくそうでした。
そこを教えることが上手くいかず前に進みませんでした。
梅子さんが時刻を間違えずによめるようになったのは、教え初めて4年が経過した頃でした。
重度発達障害の梅子さんにどう理解させていったのかを書いていきたいと思います。
目盛を使って教える
画像のように1時間6目盛に分割し、10分長針を動かしたら短針を1目盛、針を動かす…という方法です。
結論から言えば、梅子はこの方法では覚えられませんでした。
なぜ、覚えられなかったのか当時は分かりませんでした。
何度も短針用のタイルを貼り付けても理解が出来ませんでした。
その答えがわかったのは教え初めて3年くらい経過した頃でした。
事実、短針に目盛はありません。(時計にもよりますが)
そして、短針は目盛をよむためのものではなく、「範囲」を示している性質もものだということに気づきました。
同じ「針」でも役割が違うのでは?と思い、教え方を変更しました。
範囲で教える
まず梅子さんに与えたのは、時計とは全く関係のない表でした。
動物の表
猫・魚・牛・犬の4分割した表を用意し、人間の形をしたコマも用意しました。
例えば、人型のコマを右の画像のように牛の範囲において、梅子さんにどこに置いてあるのかを聞きました。
どんなに犬の近くに置いたとしても、線からはみ出てなければ牛の範囲であることを伝えました。
地域の表
地域の表も同様に人型のコマを用意し、右の画像のようにどんなに4丁目に近くても線の中なら3丁目だということを教えていきました。
短針
最後に12分割した時計の表(左の画像)を持ってきて、短針がいくら4時に近いところを指していたとしても、3時とよむことを伝えました。
この時、梅子さんは、ようやく理解して短針を読み間違えることがなくなりました。
時計を使ったコミュニケーション
時計を教えることと、コミュニケーションって関係あるのですか?
はい。
あります。
時計の課題で「やりとり」を教えていきます。
今、何時?
子供に時計の長針や短針を教えながら「今、何時?」と聞くと「○時◯分」と答える練習をしました。
ただ、時計を読ませるだけでなく、「時計」という物を通してコミュニケーションの練習につなげてい来ました。
画像のように「今、何時?」と書いた文字カードを子供に見せながら音声で質問していきます。
子供には、自分が作っていた時計の教材や本物の時計を見せながら時刻を答えさせていきます。
机上で答えられるようになってきたら、他の部屋にかけてある時計などを使って答えさせていきます。
環境が変わっても時計の読み方は変わらないことを教えていきます。
後、何分?
今度は「後、何分?」を教えるとありますが、必要ですか?
はい。
この「後、何分?」こそ「ちょっと待って」に変わる言葉です。
私が「後、何分?」と文字カードを見せながら声を出して質問します。
本物の時計と教材で使用した時計板を見せながら、長針の間の目盛を読ませました。
20分の所を「1」として30分の所まで目盛がいくつかあるのか数えさせていきました。
そして、「後、何分?」と聞かれたら「◯分」と答えるコミュニケーションの練習をしました。
キッチンタイマー
梅子さんには、時計以外にもキッチンタイマーを使わせて時間の「感覚」というものを教えました。
インスタントラーメン作りは、「3分間」「5分間」という時間の感覚を掴む練習に最適です。
お子さんと一緒に作って時間の感覚を教えてあげてください。
24時間制
時計を教えるのになぜ24時間を教える必要があるのでしょうか?
理由は2つあります。
1つは、公共機関の表示が24時間制。
もう1つは、1日の時間というものがどうなっているのかを視覚で教えるためです。
例えば、「午前の9時」と「午後の9時」では、同じ「9時」でも違いがあります。
梅子さんには、午前と午後とも教えましたが、公共機関の利用も目指していたので最終的には24時間制を教えました。
午前と午後の概念を教えるにあたり、時計の絵本を利用しました。
直線上にして長さで教える
なぜ、直線上にして教えるのですか?
直線上にすると時間の長さが視覚で見えるからです。
例えば5分の間隔と30分の間隔は数字上では全然違うと分かりますが、梅子さんのような重度発達障害者には10分と50分の間隔の差が分かりません。
そこで直線上で表す事によって視覚的により長さの違いで一目瞭然になるわけです。
スケジュールに組み込む
直線上の時計表をスケジュールにも利用することが出来ます。
・右の画像だと15分の間隔を長さで現されている
針の角度だけでは梅子さんは、理解できませんでした。
理由は、「斜め線を見る力」が極端に弱かったからです。
そのため、きちんとした時計の知識が必要でした。
数字が斜めの線(長針だと20分や50分など)を読み取る力の手助けになりました。
公共機関の利用
24時間を教えることで公共機関の「14:50」や「16:35」などが腕時計や時計で読めるようになりました。
公共機関は、午前12時59分以降は「13時」と表示されます。
梅子さんは、12時以降も連続で13時〜23時59分まで教えました。
直線上に表すとすごく長い紙になりましたが、何度も作り上げていくうちにアナログ時計でも13時以降が読めるようになりました。
その当時使っていたのがタイメックスの腕時計です。
短針のところにも数字で13時以降を表示してくれているので助かりました。
では!🌸桜🌸