環境調整って何ですか?
分かりづらい子供が新しい環境の中で穏やかに教育を受けながら過ごせるために「一人ひとりに合った環境」へと調整することです。
・人…人的環境
大人や子供同士の関わり
子供が主体的に他者と関わり雨ができるように「表情、声掛け、言動など」(環境)を整えていく
・もの…物的環境
学習に参加するための教材・教具・学習道具
「自分で使えるものを」(環境)を整えていく
・空間…空間的環境
教室、体育館、多目的スペース、校庭など
「五感を通して感じる空間」(環境)を整えていく
この3つの環境を整えていくことが大切とのことでした。
主に学校生活等の集団生活についての環境調整のような気もしたのですが、家族も1つの小集団です。
主に梅子さんと私が療育センターで学んだことと照らし合わせながら独断と偏見で感想を書いていきたいと思います。
解釈
第一章を読んでの感想ですが、結論は「解釈の仕方」がキーワードだと思いました。
アセスメントの限界
特別な場所や時間ではなく、日常生活場面で子供の普段の姿を観察するアセスメント方法
・フォーマルアセスメント
標準化された知能検査等
梅子さんの場合、インフォーマルアセスメント(生活記録)を通して梅子さんの内面を知っていく方法をとっていました。
とはいえ、年に1回は療育センターでフォーマルアセスメント(知能検査)も実施していました。
インフォーマルアセスメントとフォーマルアセスメントの2つのアセスメントで梅子さんの分かりづらさを見つけていました。
アセスメントのデメリット
【インフォーマルアセスメントのデメリット】
・信頼性、妥当性が保証されていない
・観察者(親や教師や支援者)と子供の関係により結果が変わる
・主観が入りやすい
観察する人によって、知識や経験、子供と過ごす環境が違う
梅子さんと私の場合、療育センターの先生に毎日、記録を送り読んでいただいてました。
私の主観的思考が記録の中に入るたび、先生から注意をうけてました。
また、梅子さんの立場に立ててない時などは、記録を書いても解決の糸口が見えない時でした。
インフォーマルアセスメントは、親の思いを書くものではなく、あくまでも子供の立場に立ちながら書き進めるものです。
そのため、記録者の「人間力」と「知識」も試される場でもありました。
アセスメントの内容が少しでもズレたら、子供の解釈が変わり、子供の言い分が見えなくなります。
すると問題行動が解決されず、子供のSOSが届かなくなります。
【フォーマルアセスメントのデメリット】
・子供の情緒や体調によって結果が変わる
・検査者との関係が結果に影響
・数値では見てない部分を読み解くことが難しい。
梅子さんが幼少期から学生時代、知能検査をするたび過程と結果だけを聞かされてました。
そして、私もそんなものだと思ってました。
療育センターに通って初めての知能検査は、全く違ったものでした。
検査を通して、当時の梅子さんの性質や困り事などを教えてもらいました。
具体的にどんな内容の知能検査だったのでしょうか?
記憶にあるのは、フェルト生地で作られた袋の中から手を突っ込み、中に何が入っているのかを当てるという検査でした。
梅子さんは、なかなか手を入れようとせずにいました。
私はその様子を見て、少しイライラしてました。
わざとやりたくなくて、嫌がっているのだと思い込んでました。
彼女は非常に怖がっています。
臆病なところが見受けられます。
それでも、先生から手を袋に入れるように指示され、イヤイヤながらどうにか頑張って袋に手を突っ込んだ瞬間…
先生:「パクッ!!」
梅子さん:「ぎゃああああああああ〜!」
先生は大笑いしてました。
手を入れた時、(助手の先生)T先生が袋の口を閉めた途端、私の声に驚いて叫びました。笑
こうやって彼女が何を思い、何を考えているのかを知っていくことが大切です。
アセスメントに必要なこと
・子供の視点に立って観察すること
・多角的に解釈すること(自分の解釈の傾向を知っておく必要がある)
・チームで観察する
・インフォーマルアセスメントとフォーマルアセスメントを組み合わせること
・目の前の子供達にどんなアセスメントが良いのかを子供達と関わる人がチームとなって相談することが重要
梅子さんの場合、療育センターですでにインフォーマルアセスメントとフォーマルアセスメントを組み合わせが出来ていました。
そのため、残されていた課題は梅子さんに対する私の「解釈」でした。
この「解釈」こそ、私の人間力が高くないとうまくいかない…ということです。
そのためには、たくさんの本を読み、私が徹底して梅子さんの立場から見た世界を知ることでした。
環境調整
次からは環境調整について9つに分けて細かくみていきたいと思います。
発達障害を作り出している事実がある
自分たちの関わり次第で目の前の子供達の姿が変わるかも知れないということを心に留めていくべき
子供の姿が関わり方次第で大きく変わるのでしょうか?
結論から言いますと子供は関わり方次第で変わります。
梅子さんに関して言えば、私の向き合い方、関わり方で変わってきました。
しかし、ここで非常に大きな壁にぶち当たりました。
理由は、私が私を意識できない…ということです。
要は、自分の姿を自分で確認できづらいので子供はそう簡単には変わらない…という原因を作っていました。
私自身、梅子さんに見られている…という意識を持てませんでした。
とにかく言うことを聞かそう!と躍起になっていたので。
超える方法は、目次の「インフォーマルアセスメント」をご参考にしてください。
二次障害につながる事例
二次障害は、本来の特性ではなく不安や恐怖等の環境において二次的に発生する障害
【人的環境の視点から考察】
・出来る基準を持ち出す
・不登校を責める
・宿題を終わらせることが目的になっている
・過度な反復学習
出来る基準を持ち出す
◯年生だからこれは出来て当然
出来ない子はウチのクラスにいらない
幼稚園に戻ってください
分かりづらい子供にとって1番辛い言葉です。
好きで困っている子供はいないと思います。
変えていくには、まず子供のアセスメントを盤石なものにすることが1つ。
何に困っているのか、何に分かりづらいのかをよく観察することが大切だと思いました。
不登校を責める
梅子さんの場合、支援学校でしたので学校には通っていましたが教育は私が教えました。
学校=教育ではなく学校≠教育として私が捉えてました。
家で習ったことを学校で復習するイメージでした。
そのため、梅子さんは学校の勉強にさほど困ったことがなく、「あ〜、これね」と言う感じで勉強していたようです。
学校より先に勉強していたことで学校の中で勉強に特別困ることがなかったのは大きかったと思います。
。
宿題を終わらせることが目的になっている
学習を理解しても、宿題を忘れると休み時間をカットしてやらせている。
学習は時として本末転倒になりやすい側面を持っています。
梅子さんも計算問題や漢字テストなどはプリントやドリルを活用しました。
しかし、常に内容を覚えてもらうことが目的であり、ドリルやプリントを消化することではありませんでした。
教育を与えようとするものが宿題に何を求めるのか…と言うことに尽きると思います。
過度な反復学習
結論から言いますと、間違えたこと、覚えられなかったことが罰になってしまっているように思いました。
梅子さんの場合、例えば漢字。
テストをした後、間違えた漢字だけピックアップして10回程度反復して書かせた後、もう一度テストをするの繰り返しでした。
しかし、漢字の書き取りだけでは意味が分からず、覚えたかどうかも分かりません。
その上、間違えたことが罰のような状態になっている教育方法では子供は精神的に辛いだけだと思いました。
「教育は本末転倒になりやす側面ある」
教育する側は常に意識していないと難しいかと思います。
援助要求スキル
『問題行動』と呼ばれる行動についての理解
・授業中、走り回って、担任や友達の頭を叩く
・自分の思い通りにならないと、癇癪を起こし暴言を吐く
「教えてください」や「助けてください」や「手伝ってください」などの言葉の獲得の前は騒ぐ・飛び出す・怒る・泣く・自傷・他傷で現してきます。
梅子さんの場合、手始めに課題学習の中(算数とコミュニケーション課題)で教えてきました。
【例】
算数の計算で分からない問題があるとすぐに泣いてしまっていた梅子さん。
そこであらかじめ文字カードに「分かりません。教えてください」と書いていたので、梅子さんに言わせる練習をしました。
その言葉を言えた分からない問題に対しては丸をつけていました。
分からないを言えたことで100点としたこと…
最初はきょとんとしていた梅子さんでした。
しかし、分からないことを泣くのではなく、適切な表現で現したことで次第に定着していきました。
分からない世界の中で生きているからこそ適切なSOSを表現する力の獲得が早急に必要。
だからこそ、机上の課題学習が重度発達障害者にいる。
書くことが難しい
・視機能の視点…文字の形を捉えることが難しい
・情緒の視点…同じ漢字を何度も書きたくない
・感覚の視点…鉛筆から書く感覚が伝わりにくい
梅子さんの場合、手指・視機能・感覚・情緒の4つに問題があったように思います。
そのため、クレヨンのなぞり書きを教えて文字を獲得していきました。
最初は鉛筆を使わず大きなクレヨンを使用しました。
梅子さんと全介助で一緒に大きな自由帳にクレヨンで一文字を何度もなぞっていきました。
最後は、目を閉じていても書けれるんじゃないか…と言うくらいまで体で覚えていきました。
子供が何を求めて、何に困っているのか
・座って学習したいけれど、周りが気になって立ち歩いてしまう
・教師の声を聞きたいのに、音が大きくて頭が痛くなる
・友達と仲良くしたいけれど、体に触れられると痛い
困り感が親や支援者に最初から分かれば問題ないのですが、実際は問題行動として表現してきます。
※察することと気づこうとすること≠決めつけること
全く異なるため注意が必要
十分な観察と言葉や表現、仕草などから感じるコミュニケーションを大切にして困り感に気づくことが重要
観察において1つ気を付ける点があります。
観察するということは、子供だけを見るのではなく子供を観察している自分自身も観察対象に入れるということなのです。
入力→処理→出力
知能検査・発達検査で実態を把握することも1つの方法
しかし、日常生活の中にある姿(考える時間の長さや会話をする様子など)からも丁寧に把握していく
多角的:様々な視点に立って物事を考える
多面的:物事を複数の面から捉える
私の場合、物事を多角的・多面的に捉えるには私一人の力では不足してました。
知識ある専門家の力も借りて観察内容について考察していくのが1番良いという結論でした。
インフォーマルアセスメント
特別な場所や時間ではなく日常の生活場面で子供の普段の姿を観察するアセスメント方法
フォーマルアセスメントとは…
標準化された知能検査等を指す
インフォーマルアセスメントの中身
・幼少期の記録
・食事の量や様子
・睡眠時間
・生活リズム
・好きな遊び
・家庭での過ごし方
・気持ちの浮き沈みや感情表出
ここでも、観察者による多角的・多面的な視点が必要になってきます。
梅子さんが通っていた療育センターでは、毎日「生活記録」というものを書いてました。
記録の内容は、上記に書いてある「インフォーマルアセスメントの中身」でした。
朝起きて、夜寝るまでの24時間の記録でした。
特にその中でも重要視していたのが「課題学習」でした。
この内容から子供の様子を読み解くことに力を注いでました。
当時は、ただの「生活記録」だと思っていたのですが、この本を読んで「インフォーマルアセスメント」だったのだと知りました。
人的環境
ユニバーサル=普遍的な、全体の、という言葉が示しているように、「すべての人のためのデザイン」を意味し、年齢や障がいの有無などにかかわらず、最初からできるだけ多くの人が利用可能であるようにデザインすることをいいます。
人的環境を整えるには、マイノリティ(少数派)・マジョリティ(多数派)の区別をやめUDの視点を持つこと。
全ての子供に応じて環境調整をすることができるのですね。
確かにこの形は理想の形だと思います。
しかし、重度発達障害の梅子さんと療育をしてきて思ったのは、無理がある…ということです。
・重度発達障害は個別授業でないと学べない
・集団の中で学べるまでに非常に時間を要する
・人から学ぶということを知らない子供
まずは早期療育で個別学習から開始し、人から学べるようになる姿勢をつけることだと考えています。
UDの視点を持って人的環境の中で生きるために基礎を個別学習の中で身につけておくことが大切だと思います。
合理的配慮
障害のある子供の人権が障害のない子供と同じように保障され、教育や就業などの社会生活において「平等の参加」できるよう、それぞれの障害や特性、困り感に合わせて行われる配慮
まずは丁寧に話し合って、認識・理解・受容を深めることが重要
教師からの一方的な配慮ではなく、本人と関わる人と共に相談決定する。
この合理的配慮で過去に重要なことが梅子さんに起こりました。
(私は学校でイヤーマフをしていることさえ知りませんでした)
教師の一方的な配慮から起きたことでした。
また先生方のパワーバランスもあったので、あえて波風を立てることもしませんでした。
案の定、学年が変わるとイヤーマフなしで普通の生活に戻ってました。
一方的な配慮に陥りがちな「合理的配慮」。
配慮の方向性を間違うと合理的配慮ではなくなるという危惧があります。
合理的配慮をするにも、まずは「インフォーマルアセスメント」の充実が必要不可欠だと考えています。
以上が「子どもの発達障害と環境調整のコツがわかる本」の第一章でした。
次回、第二章について思ったことを解説していこうと思います。
では❣️🌸桜🌸