【家庭療育】金種の見分け方と分類

教え方

🌸桜🌸です。

金種を見分ける…とありましたが、明らかに見てわかる物ではないのですか?

🌸桜🌸
🌸桜🌸

お子さんによります。
梅子の場合、見る力があるようでない…という事が分かっていたので、まずは分類からはじめました。

梅子はまず手始めに硬貨の分類からはじめました。
確かに色や形で分類するのは早かったです。
とはいえ、硬貨に彫られている数字が全く読めないことに気づきました。
彫った数字を認識できない…
それが梅子さんでした。

そして、もう1つ盲点がありました。
漢数字です。
5円玉には「五」と彫られています。
それはお札も同様でした。

そして数える時、語尾に「円」をつけることも教えました。

金種の分類を通してお金の課題は、漢数字と切っても切れない関係だと学びました。
何も分からない梅子さんにどうやって教えてきたのかを書いていきたいと思います。

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金種の分類

分類箱を使う

初めに何をすれば良いのでしょうか?

🌸桜🌸
🌸桜🌸

最初に硬貨を大量に用意し分類させていきました。
色と形が違うことを識別してもらうのが目的です。

硬貨の分類 1

1)一円玉と十円玉を分類する
2)一円玉と百円玉を分類する
3)十円玉と百円玉を分類する
4)一円玉と十円玉と百円玉を分類する

梅子の場合、各硬貨を30個ずつ用意し混ぜた状態で分類させていきました。
あらかじめ箱の中には1個ずつ硬貨を入れておき、どの箱に何の硬貨を入れるのかを示していました。
そして、1)〜4)の順番に分類をさせていきました。

硬貨の分類 2

1)五円玉と五十円玉を分類する
2)五円玉と五百円玉を分類する
3)五十円玉と五百円玉を分類する
4)五円玉と五十円玉と五百円玉を分類する

ここでも各硬貨を30個ずつ用意して分類させました。
上記のようなやり方で分類させていきました。

硬貨の分類 3

最後は全ての硬貨(一円玉・五円玉・十円玉・五十円玉・百円玉・五百円玉)を全て混ぜた状態で各分類箱に分類させていきました。

お札の分類 1

お札も硬貨同様に分類させていきました。

硬貨とお札の分類 2

最後、硬貨とお札を混ぜた中から各分類箱に分類させていきました。

🌸桜🌸
🌸桜🌸

分類させていくことで梅子さんに硬貨やお札にそれぞれ違いがあることを教えていきました。

トレーシングペーパーの浮き出し絵

どうしてトレーシングペーパーを使って浮き出し絵をしたのでしょうか?

🌸桜🌸
🌸桜🌸

梅子さんは、硬貨に彫られた文字を文字として認識できませんでした。

彫った文字を読んでもらうために硬貨の上にトレーシングペーパーを置き、鉛筆でこすることで浮き出てきた文字を見てもらう作戦に出ました。

「見て!」と言っても見てくれない上に、認識も難しい梅子さん。
この時ばかりは梅子さんが抱えている認知の障害の重さを思い知りました。

硬貨とお札の名称

硬貨やお札の分類以外に何を教えたら良いのでしょうか?

🌸桜🌸
🌸桜🌸

それぞれのお金の名称を教えていきました。

名称を教える

金種ごとに名称が違うことも知らなかった梅子さん。
それ以上に名前すらあることも知りませんでした。
そんな梅子さんにまずは各金種ごとの名前を教えていきました。

一円玉を見せて梅子さんに「一円」と答えてもらうため「文字」を書いて読ませて実物と文字と音声が一致するように教えていきました。

  • 実物
  • 文字
  • 音声

この3つを「=」で教えていくことで1円の存在を認識できるようになりました。

ここまで考えて丁寧に教えないといけないのでしょうか?

🌸桜🌸
🌸桜🌸

梅子さんは、重度発達障害なので、全てが「=」で繋げないと理解できませんでした。
1つでも「≠」になってしまうと訳がわからなくなってしまいました。
繋げていくことを目標に教えました。

漢数字を教える

名称が入れば理解も早そうですね。

🌸桜🌸
🌸桜🌸

実は、日本銀行の発行している五円玉は、アラビア数字を使っていません。

紙幣の印刷と五円玉は漢数字の表記があり(もちろんお札は、アラビア数字も記載されています)漢数字も同時並行で教えていきました。

漢数字を教えておくことは、計算などに非常に役立つ場面があります。
桁(一の位・十の位・百の位・千の位・万の位)を教える時に非常に役立つので漢数字が書けて読めるようにしておくと便利です。

「円」を教える

お金の単位は全て「円」で表されます。


「円」=「えん」

という漢字と音声を教えてあげてください。

ここでも「円」まで教えるとのことでしたが、丁寧に教える必要があるのでしょうか?

🌸桜🌸
🌸桜🌸

梅子さんの分かりづらさの立場に立って教える必要がありました。

例えば梅子さんが「1円ちょうだい」と人から言われた時、「円」を知らなければどう認識するのか…ということです。


「いち??ちょうだい」

他者が何を自分に求められているのかも分からず目の前に一円玉があったとしても、人に渡せません。
「円」を音声と文字で入れることで「1円ちょうだい」として認識できるようになります。

重度発達障害の子供は、わざと知らないふりをしているわけでも気分で指示が通らないわけでもありません。
全ては「相手の言っている言葉が分からない」だけです。
これが重度発達障害の正体「認知の障害」です。

数え方を教える

数を数えるのに必要な力って何でしょうか?

🌸桜🌸
🌸桜🌸

まず金種を数える以前に「1対1対応」の勉強が必要になります。

1対1対応につきましては後日、ブログを更新します。

1対1対応が分かるようになったとしても、あえてお金の数え方を教える必要があるのでしょうか?

🌸桜🌸
🌸桜🌸

梅子さんは、1対1対応が完全に入ってもお金は数えられませんでした。

梅子さんに初め、1円玉を30個ほど渡して、「数えて」と伝えました。
梅子さんは、声を出して「1円・1円・1円・1円・1円・1円・1円・1円・1円・1円…」と言いながら30まで数えていました。

1円・2円・3円…と順番には数えられませんでした。
確かに梅子さんの数え方に納得しながら、1円の次の1円は「2円」と呼ぶことを教えました。

各種の金種の数え方を教える

1円なら1円・2円・3円…と順番に数えたら早くできるようになりました。
多分、1対1対応の概念が入っていたのでコツを掴んだら早かったのが理由だと思います。

5円・10円・50円・100円・500円・1000円・5000円・10000円
この金種に関しては、「お金を数える」という別に課題の時間を設けて教えました

10円なら「10円・20円・30円…100円」というように10ずつ数える練習が必要でした。
100円も同様に「100円・200円・300円…1000円」というように100ずつ数える練習が必要でした。
1000円も同様に1000円ずつ数えて10000円まで数えられるようにしました。

次に5円ですが、時計の課題を既にこなしていたので読むのは早かったのですが問題が1つありました。
時計なら単位が「分」なのですが、お金なので「円」です。
「5円・10円・15円…100円」と5とびで円を言いながら数えることが難しく定着までに時間を必要としました。

50円も同様に「50円・100円・150円…1000円」というように50ずつ数える練習をしました。
500円も同様に10000円まで500ずつ数える練習をしました。

以上がお金を数える練習ということで書きました。
数えるだけでも難しい重度発達障害児ですが、1対1対応の概念を獲得し、お金を数えられるようになれば、自分の力で支払いまで出来るよう教えられるので是非ともお金の勉強を諦めずに教えてあげて欲しいと思います。☺️

では!🌸桜🌸

成人になった重度発達障害者の梅子さんと一緒に課題学習を通して、心を育てる療育を実践してきた。ヘレンケラーとサリバン先生のような指示の通る関係の構築に尽力してきた。療育は、新居浜にあるトモ二療育センターで9年間勉強。現在、梅子さんは、地元の通所施設で毎日働いている。
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